【実況者】僕らはみんな狂っている－真相編－【ky,rt】 (ページ7)

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その日私は
美容院で髪を整えてもらった。

家に帰れば
レトくんはその変化にすぐ気づいてくれて

「髪切ったん？可愛い」

と褒めてくれる。

『あ、そういえばね、今日担当してくれた美容師の人、ゲームが好きでレトくんの実況も見てるって！』

私は彼氏の認知が誇らしくて
その話をした。

でも、レトくんは

喜ぶどころか険しい顔をした。

「ねぇ、その美容師って、男？女？」

『えっと……男の人だよ』

責め立てるような質問に
私の声はつい小さくなる。

そして、

男だと知ったレトくんの顔は
怒りに満ち溢れた。

「なんで見知らぬ男に髪触らせてるの？」

そう一言言い放つと

どこからかハサミを持ってきて

私の切りそろえられた髪を

無惨にも切った。

『ちょっ、なにするの？！』

抵抗する声は

レトくんの「うるさい」
という声に制される。

私の髪を掴み
一心不乱に切り刻んだ。

肩まであった髪が
無様なショートヘアになったとき

「こんなことされたくなかったら、もう男には切らせないでね」

と言い残して

レトくんは自室に籠ってしまった。

私は洗面所の鏡の前へ行き
ショートヘアになった自分を見つめた。

そして、

作戦の成功を静かに喜んだ。

レトくんを怒らせるために
わざわざ男性美容師を指名してよかった

と考えていた。

レトくんに切られた髪は

見るに堪えないほど
ひどく、不格好だった。

でも

この歪な形が私たちの愛なんだ

そう思ったとき、

鏡に映った私の顔は
とてもとても幸せそうな顔をしていた。