【実況者】僕らはみんな狂っている－真相編－【ky,rt】 (ページ22)

今日:3 hit、昨日:13 hit、合計:19,110 hit

. ページ22

.

私の言葉を聞いて、わかり易く安堵の表情を浮かべたキヨくんは、すぐに険しい顔に戻った。

「ねぇ、俺っておかしいのかな……？」

縋るように私を見つめてくる。
まるで、神や仏に答えを求めるように。

それなら私が、貴方に答えを授けてあげる。

『キヨくんはさ、私の事好き？』

「……は？」

答えになっていない、的をはずれた質問に、キヨくんは顔を顰めた。

『ねぇ、私の事好き？』

もう一度同じ質問をする。

今度はちゃんと答えて貰えるように、キヨくんの揺れる瞳を見据えた。

「好き、だよ。誰にも負けないぐらい……Aが好き」

『じゃあ、手錠も監視も私のことが好きだからやったの？』

「そう……レトさんの手には渡したくなくて……」

『それなら、』

『キヨくんはおかしくないよ』

それがキヨくんへ贈る答え。

人への愛なんて十人十色なんだから、おかしいなんて思う必要ないよ。

だって、これが私たちの愛の形でしょ？

私の答えに安心したのか、潤んでいた彼の目からはついに涙が零れた。

『もう、泣かないでよ』

止まる目処がつかない涙を、親指で優しく拭っていく。

「A、好きだよ……」

嗚咽混じりの声で呟くキヨくんに『私もだよ』と返して、私は言葉を付け加えた。

それは、願いのような、呪いのような言葉。

『ねぇ、キヨくん、』

.

『もっともっと愛してね(狂ってね)』

どうかこのまま、狂っている事に気づかないで。

─ 僕らはみんな狂っている Fin. ─