執着 ページ8
すごく長い時間歩いたような気がする。
やっと自宅に辿り着き、鍵を開け中へと入る。
その瞬間、
緊張の糸が解けやっと一息つくことができた。
レトさんの彼女をリビングのソファに座らせ、
買い置きしてあったお茶を渡す。
『ありがとうございます』
と小さく言うが、
目を合わせてはくれなかった。
何を話したらいいかわからず、無言の時間が流れる。
そんな中、
スマホのバイブ音が鳴り響いた。
どうやら彼女のスマホからのようで、
カバンから取り出して画面を見た彼女は
『レトくんからだ……』
と呟いた。
電話に出るか考えあぐねている彼女から
俺はスマホを取り上げた。
「今は出ない方がいいだろ」
レトさんは少し頭を冷やした方がいい。
そう考えた俺は、
レトさんの電話に出るのは得策ではないと思った。
スマホの画面を見ると
レトさんから三十件以上の電話通知。
きっと俺が気づかなかっただけで、
彼女と家に向かっている最中も電話は来ていたのだろう。
通知の多さに少しゾッとして
俺は彼女のスマホの電源を切った。
『あの……レトくんの所へ帰らせて貰えませんか』
「……は？」
急に彼女はそんなことを言い出した。
せっかくレトさんの所から連れ出したのに帰りたい？
マジでこいつ何言ってんの？
俺は思考が追いつかず、
つい高圧的な返事をしてしまう。
『レトくんは私がいないとダメなの……だから、お願い……お願いします……』
目から大粒の涙を流しながら訴える彼女。
しかし、泣かれても理解できないものはできない。
レトさんから酷い仕打ちを受け、
誰かに助けを求めるぐらい傷ついたのに、
それでもこいつはまだレトさんを求めるのか。
その思考が俺には到底わからなくて、
核心を突くように、
「じゃあなんで"助けてください"なんて言ったんだよ。レトさんから逃げ出したかったんじゃねぇの？」
と問いただした。
『それは……』
言葉に詰まった彼女は
ひたすらに泣くことしかしなくなった。
きっと彼女もどうしたらいいのかわからないのだろう。
大人気ないことを言ったと反省し、
「今日はとりあえず寝たら？」
と彼女に提案する。
俺の寝室まで案内し、彼女をベットに寝かせた。
「じゃあ、おやすみ」
そう言って灯りを暗くする。
その間も、
彼女の泣き声だけは寝室に響いていた。
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ひばり(プロフ) - emiさん» 前作に引き続き読んでいただきありがとうございます〜！！すごく嬉しいです……！これからも応援よろしくお願いします！ (2020年5月29日 7時) (
レス) id: 22260f8f2e (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - 待ってました！！(誰) 前作も見ていました！ひばりさんの作品大好きなんです！！体に無理がない頻度で、更新頑張ってください！ (2020年5月29日 5時) (レス) id: ec0b5da59b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひばり | 作成日時：2020年5月28日 7時
