優先事項 ページ31
最俺での撮影が一通り終わり
さっさと帰り支度を始める。
朝、気まずいまま家を飛び出した俺にとって
早く帰りたい気持ちと
帰りたくない気持ちが拮抗していた。
帰ったらまず、何を話そうか
撮影が終わってからその事しか頭にない。
リュックを背負って
メンバーに
「じゃあ帰るわ」
そう一言告げて
撮影部屋を出ようとした瞬間、
「あ、キヨ」
と声をかけられる。
帰りたいのに邪魔をされ
イラついた態度を隠しきれなかった俺は
「あ?なに?」
とワントーン低い声で返事をしてしまった。
声をかけてきたのはどうやらフジ。
ソファの背もたれから顔を出し
俺を見ている。
フ「キヨさ、レトさんが最近動画あげてない理由知ってる?連絡したっけ返信返ってこなくてさ」
あまり聞かれたくない質問に
全身から汗が吹き出したのがわかった。
知ってるも何も
その原因の一旦は俺が担っている。
でも、
誰かに事の顛末を話すのははばかられて
「いや、知らねぇ……」
と嘘をついた。
なんとなく後ろめたさがあって
フジの目を見ながらは言えなかったけど。
フ「ふーんそっか」
俺の嘘を信じたのか信じていないのか、
よくわからない返事を返される。
早くこの場から立ち去りたくて
「話それだけ?じゃあな」
と返事も待たず玄関へと向かった。
車に乗り込んで自宅を目指す。
その間、
レトさんの事を考えていた。
ここ最近、
Aを手に入れることで
いっぱいいっぱいだった俺は
正直
レトさんのことなんてどうでも良くなっていた。
親友より女を選ぶなんて
俺は白状な奴だと思う。
今日フジからレトさんの事を聞かれ
やっとレトさんに対して
心配する気持ちが湧いてきた。
レトさんにとって
大好きなゲームが出来なくなるほどの存在
それが、A。
絶対に俺がAを独占するのは良くない
とはわかってはいる。
わかってはいるけど、
もう俺の気持ちは___
後戻り出来ない所まできてしまった。
今更レトさんにAを返す気など
さらさらなかった。
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ひばり(プロフ) - emiさん» 前作に引き続き読んでいただきありがとうございます〜!!すごく嬉しいです……!これからも応援よろしくお願いします! (2020年5月29日 7時) (レス) id: 22260f8f2e (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - 待ってました!!(誰) 前作も見ていました!ひばりさんの作品大好きなんです!!体に無理がない頻度で、更新頑張ってください! (2020年5月29日 5時) (レス) id: ec0b5da59b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひばり | 作成日時:2020年5月28日 7時