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『私も好きだよ。ばいばい』


と電話を切った彼女に対して


「レトさんとなんの話したの?」


と聞く。


その声は


自分でも驚くほど低く冷たい声だった。


『えっと……とくには……会えない代わりに声が聞きたかったみたいです』


少し俯きながら
照れた顔で言う彼女が気に入らない。



俺は彼女に詰め寄り、
二人の距離はほぼゼロとなった。


戸惑う彼女のことなど無視して


「なあ、レトさんの何が好きなの?」


嫉妬を隠しきれていない声で聞く。


『私のこと、一番に考えてくれて……こんな私でも好きって言ってくれるところ、です……』


彼女の返答は途切れ途切れだったが


言葉一音一音からは
強い気持ちが伝わってくるようだった。





いよいよ
自分自身の衝動すら制御できなくなってしまい


心に秘めておくつもりだったことを言ってしまう。


「俺だって一番に考えてあげられるし、レトさんよりもAさんのこと幸せにしてやれる。それに……」





好きだ





その言葉を言う前に思いとどまった。



先ほど気づいた嫉妬の感情。


軽率に「好き」なんて
言ってしまっていいものなのか。


しかも


親友の彼女に対して。



急に冷静さを取り戻した俺は
何も言うことができなくて


ただ彼女を見つめた。





彼女の瞳は一瞬揺れたように見えた。



それは困惑か、


それとも俺に揺らいだのか___





どちらにせよ
この空気感に堪えられなくなった俺は


「冗談だから気にすんな」


と下手くそな嘘をついて、
彼女との距離をまた一定に戻した。





何もなかったかのようにまたテレビを見始めるが、









内容なんて
入ってくるわけがなかった。









┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
【作者余談】
とりあえず「鼻声」と書いておけばレトさんが連想されるので、利便性を感じ乱用しています。

懺悔→←電話



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作品ジャンル:恋愛
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ひばり(プロフ) - emiさん» 前作に引き続き読んでいただきありがとうございます〜!!すごく嬉しいです……!これからも応援よろしくお願いします! (2020年5月29日 7時) (レス) id: 22260f8f2e (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - 待ってました!!(誰) 前作も見ていました!ひばりさんの作品大好きなんです!!体に無理がない頻度で、更新頑張ってください! (2020年5月29日 5時) (レス) id: ec0b5da59b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひばり | 作成日時:2020年5月28日 7時

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