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温かい ページ19

実況を撮り終わり一息つくと
タイミングよくノック音が聞こえる。


部屋にAさんが入ってきて


『ご飯できました』


と控えめに告げる。


時計を確認すると時刻はすでに十九時。


集中していて気づかなかったが


もう夕飯の時間だと認識すると
自然と腹が減ってきた。





部屋から出ると、
優しい甘い香りが鼻腔をくすぐって


そういえば肉じゃがリクエストしたんだわ


と思い出す。



テーブルの上には


つやつやの白米に肉じゃが、みそ汁が置かれていて
そのどれからにも湯気が立ち上っていた。


俺のテーブルの上に手料理が並ぶことは
おそらく初めて。


見慣れない景色に少し不思議な感覚だった。





「いただきます」


手を合わせ、
早速肉じゃがを箸でつつく。


俺を見つめる彼女の目からは緊張が感じられ
意識してしまうと少し食べずらかった。



口に運ぶと、
舌の上でジャガイモがほろほろと解けて



「うま……」



という言葉が無意識に口から出ていた。


俺の一言を聞いた彼女の顔は安堵に変わり、


『よかった……』


と呟いた顔は___





優しく微笑んでいた。





初対面の時に見た作り笑顔ではなく
本当に心から笑った顔。


初めて見た彼女の笑顔に
心臓が大きく高鳴るのを感じる。


こんなに可愛い顔すんのかよ……ずる……


赤く火照った顔を冷やすために
用意されたお茶を勢いよく飲みほした。





よく考えると、
今日一日の出来事はカップルのそれだった。


気まずい空気だったとは言え
二人で買い物へ行き、


実況が終わったら彼女の手料理を食べる。


キッチンに並べられた数々の調味料を見ると
これからもこんな日常が続くことが予期された。


今まで彼女なんてめんどくさいだけだと思っていたが


人が作った手料理は
こんなにも心を温かくさせるのか。



密かに


こんな日常がもっと続いてほしい


と願う俺がいて___









ここにはいないレトさんに向かって



ごめん、Aさんは返せそうにないわ



と胸の中で言っていた。









┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
【作者余談】
今回初めてパソコンで書いてみたのですが、小説家気分が味わえてよかったです。
欠点としてはタイピングが遅くて、いつもの倍書くのに時間がかかりました。

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設定タグ:実況者 , キヨ , レトルト   
作品ジャンル:恋愛
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ひばり(プロフ) - emiさん» 前作に引き続き読んでいただきありがとうございます〜!!すごく嬉しいです……!これからも応援よろしくお願いします! (2020年5月29日 7時) (レス) id: 22260f8f2e (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - 待ってました!!(誰) 前作も見ていました!ひばりさんの作品大好きなんです!!体に無理がない頻度で、更新頑張ってください! (2020年5月29日 5時) (レス) id: ec0b5da59b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ひばり | 作成日時:2020年5月28日 7時

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