掌握 ページ33
何回も車で走った帰路は
いつもの倍以上に感じられた。
やっと自宅に着き
マンションのエレベーターなど使わず
階段で自分の部屋を目指す。
今出せる全力で階段をかけ登り
部屋の前まで来たときには
息は絶え絶えだった。
しかし
休んでる暇などない。
一刻も早くAの所在を確かめなければ___
鍵を開け
震える手でドアノブを捻った。
「ただいま」
ドアを開けたと同時に発した声は
暗闇の中に消えていく。
明かりもついていなければ
人のいる気配もない。
Aがレトさんの元へ帰った___
その予想が現実味を帯びてきた。
それでもどうしても信じることができず
「A?いるんだろ?!なぁA……!」
と声を張り上げて叫んでみるも
返事は返ってこない。
Aに会いたい。
ただそれだけの願いが届かず
絶望した俺の体からは
力が抜けていく。
「A……勝手に行くなよ……」
ついに立つこともままならなくなって
俺は膝から崩れ落ちた。
気づいたら
俺は涙を流していた。
このやり場のない気持ちは
泣くことでしか
発散することが出来なかったのだと思う。
「うっ……ひっく……うぅ……A……」
子供のように泣きじゃくりながら
Aの名前を呼ぶ。
もう返事はないとしても___
『キヨさん?』
突然
後ろから俺を呼ぶ声が聞こえた。
幻聴か?
いや、それにしてははっきり聞こえた。
驚きと期待を込めて俺は振り返る。
そこには、
待ち望んでいた
Aの姿があった。
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ひばり(プロフ) - emiさん» 前作に引き続き読んでいただきありがとうございます〜!!すごく嬉しいです……!これからも応援よろしくお願いします! (2020年5月29日 7時) (レス) id: 22260f8f2e (このIDを非表示/違反報告)
emi(プロフ) - 待ってました!!(誰) 前作も見ていました!ひばりさんの作品大好きなんです!!体に無理がない頻度で、更新頑張ってください! (2020年5月29日 5時) (レス) id: ec0b5da59b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ひばり | 作成日時:2020年5月28日 7時