雨は突然に ページ5
今日もキヨ先生に会える。
そう嬉しく思うのと同時に、補習最終日であることが頭にちらつく。
今日が終わってしまったら、何も無かったかのようにただの先生と生徒に逆戻りしてしまう。
それがとても辛かった。
照りつける強い日差しと五月蝿いセミの声が響く中、学校へと向かう足取りは重かった。
静かな体育準備室で、私はテスト問題を解いていた。
目の前には、パソコンで作業をするキヨ先生の姿。
補習2日目から、キヨ先生は私がテストを受けている間も準備室にいるようになった。
キヨ先生曰く、
「水川がカンニングしないように見張ってる」
と言うことらしい。
正直、目の前にキヨ先生がいたら、緊張でテストどころじゃないから複雑だった。
集中しなきゃ。
私は無理やりテストにだけ目を向けた。
「ん、今日も満点だな」
テストを採点し終わったキヨ先生は私に言った。
その言葉は、間接的に補習の終わりを告げていた。
採点中に降り出してきた雨の音がやけにうるさい。
今日傘持ってきてないのになぁ。
『それじゃあ帰ります。1週間ありがとうございました。』
補習が終わったのなら、体育準備室にいる理由なんて私にはない。
そう思い、荷物を持って立ち上がろうとした。
「お前、この雨の中帰るの？」
『え？』
その言葉は私を引き止めた。
「どうせ通り雨だろ。止むまで待てば？」
まだここにいてもいいんだ……
私が準備室にいてもいい理由を、キヨ先生自らが作り出してくれたことがとても嬉しかった。
嬉しさを噛み締めていると、
「それとも、俺と一緒にいたくねぇとか？」
と、いつもの冗談を言うように笑いながら尋ねてくる。
その顔は、まるで私の返答を聞かなくてもわかっている、といった感じだ。
『そんなことないです……！』
私は持っていた荷物を下ろした。
あぁ、雨がいつまでも止まなきゃいいのに。
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ひばり(プロフ) - ゆきさん» ゆきさん！コメントありがとうございます！散りばめた伏線を最終的に回収することができほっとしています……これからもよろしくお願いします！ (2020年5月28日 0時) (
レス) id: 22260f8f2e (このIDを非表示/違反報告)
ゆき(プロフ) - 昂った感情の抑え方が分からないのでコメントします……！！！タイトルの意味をぼんやりと考えながら読み進めていたら、最後であぁ……なるほど、と。綺麗な言葉に綺麗なお話でとても感動しました！！次回作も楽しみにしてます！！！！ (2020年5月28日 0時) (レス) id: 05bab72418 (このIDを非表示/違反報告)
ひばり(プロフ) - 涼風さん» コメントありがとうございます！私自身こんな終わりで大丈夫なのか……と不安があったのでそう言って貰えて嬉しいです！これからもよろしくお願いします！ (2020年5月27日 23時) (レス) id: 22260f8f2e (このIDを非表示/違反報告)
涼風(プロフ) - こっ、声が出なくなった……！なんだろうこの気持ちは。自分の語彙力じゃ表現しきれないけれど、最高の作品をありがとうございました！そして、投稿お疲れ様でした。これからも応援し続けます！ (2020年5月27日 23時) (レス) id: 3abcd35107 (このIDを非表示/違反報告)
ひばり(プロフ) - コメントありがとうございます！嬉しいお言葉……！これからも頑張って執筆していく予定なので、よろしくお願いします！ (2020年5月26日 18時) (レス) id: 22260f8f2e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ひばり | 作成日時：2020年5月10日 15時
