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部屋に1人残されて、辺りをぐるりと見渡すと天井の四隅、その他にも数台、黒いレンズがこちらを捉えていることに気づいた。
隠す気なんてさらさらない、寧ろ“貴方を見張っています”と言っているかのような佇まいに、あの男の本気度が感じ取れた。
窓はない。外へ繋がるのはこの部屋の出入りに使われてる扉のみ。それだって内側からは鍵が開錠できないようになっている。
手っ取り早いのは今着せられている、無駄に肌触りのいい寝巻きを脱いで、その袖部分で首を絞めて、死ぬこと。けれどこれは不可能に近い。
なぜなら私の腕の力では窒息できるほど強く絞め付けられないのだ。なんとも情けないが、検証済である。
この部屋には何かが引っ掛けられるような場所はないし、天井は馬鹿みたいに高い。くそ、完全に対策してやがる。
不自由のない生活なんて、そんなもの享受してたまるか。
仕事もせず、何の役にも立てない人間がそんな生活を送る権利などない。そんなの、さらに自分が惨めになっていくだけだ。
私は早く死んで、早く思考を放棄したいのだ。
舌を噛み切れればそれ以上のことはないのだけれど、如何せん長い間固形物を口にしていないため、それほどの力が入る望みは薄い。
もう少し頭が良ければ、他に死ぬ方法の1つや2つ思いつけたのかもしれない。まったく、自分の無能さが憎い。
『……死にたい、』
先程のスンミンとやらがいたらまた怒られてしまうだろうか。
もうその怒りのまま殺してほしい。
そこで突然やってきた強い眠気に残念ながら抗う術もなく、ただひとつ、もう目覚めることがありませんように、と願って目を瞑った。
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こと(プロフ) - 初めまして🙇♀️質問なのですが以前セブチのマンネのお話書いてらっしゃいましたか、? (3月25日 15時) (レス) id: 12b873ee35 (このIDを非表示/違反報告)
きびだんご(プロフ) - めちゃくちゃ好きです…この作品を作ってくれてありがとうございます🫶 (10月14日 23時) (レス) id: 9efe01ec08 (このIDを非表示/違反報告)
えまのすけ - ダークな世界観ながらも皆の優しさを感じてとても好きです、、!!BC推しでなかなか小説ないのでありがたいです、更新頑張ってください…! (10月8日 1時) (レス) @page19 id: 344af6e19c (このIDを非表示/違反報告)
しろくも(プロフ) - サメ?さん» ありがとうございます!更新を楽しみに待っていただけるようなお話にしたいと思います☺︎ (9月22日 17時) (レス) id: c5380ca731 (このIDを非表示/違反報告)
しろくも(プロフ) - ぱくちーさん» ありがとうございます!私もBCの話に飢えてまして、どうせなら書いてしまえ!となった次第です🤭是非これからも楽しみにしていてください☺︎ (9月22日 17時) (レス) id: c5380ca731 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しろくも | 作成日時:2023年9月21日 0時