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時は絶ち、私たちはもう小学校を卒業する日となった。



私とイヴァンは今私の家で遊んでいる。




「イヴァンと出会えて良かった。」



「何を言っているの、僕もだよ。Aちゃん。」



「中学校でもよろしくね。」




笑顔で、イヴァンに手を差し出して言ったのに。



彼は何故か悲しそうな表情を浮かべたのだ。





「あのね、僕、帰るんだ。」



「帰るって、何処に。」





イヴァンの言っている意味が分からない。



いや、分かる。それくらい。



だけど理解したくなかった。



知りたくなかったのだ。





「ロシアに。僕、ロシア人なんだよ。」



今まで黙っててごめん、と。



彼の目には涙が浮かんでいる。



なにそれ、いきなりすぎるよ。





「嘘でしょ、ねえ。嘘って言ってよ。」



「嘘じゃないの!!」




そう叫んだと同時に彼の瞳からは一粒の滴が溢れた。




「嘘じゃないの……?」



中学校に行ったらどうするの、私。



生きていく希望が失われた気がする。




「イヴァンくん、行かないでよ。」



「僕、ロシアだから。ごめんなさい。」





"ロシアだから"。その意味が理解できない。



どういうことなのだろうか。





「明日には向こうに行くの。」



「やだ!イヴァン、やだよ!」




彼は玄関に行って、靴を履いた。



「ごめん、Aちゃん。そしてСпасибо」



「嫌ぁ……イヴァン…」



「僕のことは忘れていいから。」



「忘れられないよぉ……ひっく。」



イヴァンが違う国の言葉を話したことで、ようやく現実を受け入れることができた。



「すぱ、すぃーば?」



「ありがとうって意味だよ。」



ふわりと微笑むイヴァン。




「イヴァン、すぱすぃーば!!」



「………うん。」





イヴァンが私の腕をグッと引く。



そして、すっぽりと彼の腕の中に収まってしまった。





「Спасибо вам за все. Мне понравилось вы остаться вместе навсегда, и я ненавидел это. Да, от этого. Независимо от того, где в мире гораздо больше, как вы. Начинают видеть снова. До свидания.」



イヴァンが何て言ったのかは知らない。



でも、最後の言葉だけはわかった。




「バイバイ、イヴァン。」




──
ロシア語の訳違ってたらすみません。

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作者名:みずき@佐香智久くんlove | 作成日時:2017年2月6日 21時

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