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次の日も、その次の日も、イヴァンは陰でこそこそと言われ続けた。
それでも、学校に来れているイヴァンは凄いと思う。
イヴァンは強い。私とは違って。
私は、イヴァンを助けることすら出来ない。
イヴァンが嫌われていると知っていても、離れられなかったのは、きっと彼の良いところを知っているから。
彼は嫌われるような人ではない。
今日も私はイヴァンの席に向かっている。
「あ、イヴァンく……っ!」
「イヴァンくん、その子のこと好きなんだね。」
「うん、好きだよ。」
だけど、イヴァンの席には他の女の子が居た。
なんだ、他にも友達がいるじゃないか。
良かった、イヴァンに他の友達が居て。
嬉しい、嬉しいはずなのに。
「……っ。」
何故か胸が締め付けられて、自分の席に戻った。
『イヴァンくん、その子のこと好きなんだね。』
『うん、好きだよ。』
その会話だけが頭の中でリピートされる。
好きな子、居たのか。
そりゃあイヴァンだって好きな子くらい居るに決まっている。
いいな、イヴァンに好かれている子は。
それが私だったら良いのにな、なんて思った。
その日の授業は集中できなかった。
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作者名:みずき@佐香智久くんlove | 作成日時:2017年2月6日 21時