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十二 ページ12

「菊……助けて…」



必死に手を伸ばしても、彼には届かない。




「Aちゃん、此方見て。」



「……?」



イヴァンの言う通りにした。



すると、彼の顔が徐々に近づいてきて…




「んぅ……!」



「ん……」




唇に暖かいものが重なった。



さっきまでは嬉しかったけど、今はとても怖い。




酸素を吸う間もなく、何度も何度も唇を重ねられていたが、それを止めに入ったのは菊だった。




「止めてください、イヴァンさん。」



「嫌だよ。Aちゃんは僕のだもん。」



「…止めてください。」



「……嫌だっ!!」




イヴァンの目には涙が溜まっていた。



瞼を閉じるとそれはもう流れそうだ。




「…僕、Aちゃんが好きで好きで仕方なかったんだ。」



「イヴァンくん……?」



「今まで恋をしたことはあったよ。でも……」





そこまで言うとイヴァンは黙り込んでしまった。




「本気で好きになったのは初めてなんだ。」




その言葉に胸が高鳴る。



ああ、私のことをこんなに想ってくれてる人なんて初めてだ。





「イヴァンくん…っ…もういいよ。」



ぎゅうっと彼に抱き付く。




「ありがとう。ありがとね、イヴァンくん。」



「Aちゃん…。」



「好きだよ。」



「僕も。」




私の頭をよしよしと撫でてくれる。



それが何だか気持ち良かった。




「……ふふっ。良かったです、仲直りされて。」




ニコニコと笑う。




「今日は一人で帰りますよ。Aさんはイヴァンさんと帰ってください。はぁ、爺は嬉しいですよ。」




菊はそう言うと、教室を出ていった。




「……ありがとう。」



「菊くんに感謝だね。じゃあ、もう帰ろうか。」



「うん!」



と大きく返事して、荷物を持つ。





そして、イヴァンと手を繋ぎながら帰ったのだった。

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作者名:みずき@佐香智久くんlove | 作成日時:2017年2月6日 21時

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