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十一 ページ11

「人間?そんなわけないよ。僕は国なんだから。ロシアなんだよ。」




「国………ロシア…」




ロシアって、あの北にある大きな国。



だからイヴァンも大きいのかな。




「今まで隠してたのは君に嫌われるのが嫌だから。」



「そんな……嘘でしょ?」




現実を受け止められない。



ショックが大きいのだ。




「嘘じゃないって。あのね、君の友達の菊くん。あの子だって国だから。」



「菊まで…?」



「そうだよ。君が生まれたこの国、日本だよ。」




イヴァンはくすくすと笑う。



何が面白いのだろう。




「い、いやっ!!」



「待ってよ、A。逃げないで。」




私はイヴァンの横を通り抜けて、教室のドアの方へ行く。



だけど、すぐに追いつかれてしまった。




「君も僕の隣から居なくなっちゃうんだ?」



低い声が聞こえて、そのままイヴァンの手が隣につく。



もう逃げ場はない。




「許さないから。そんなの。僕の隣から居なくなるなんて。」



「やだ、イヴァンはこんな人じゃない。」




イヴァンは変わってしまったんだ。



私の知っているあの人じゃない。




ああ、一体何処で道を間違えてしまったのだろう。




「やめてっ!!来ないで!」



「Aさん…?」



「あ、ぅ…菊……」




もう片方のドアから、顔を覗かせる菊。




私は彼に助けを求めた。




「イヴァンさん!!Aさんを離してください。」



「嫌だ。」




イヴァンは満面の笑みを浮かべた。



そしてとても低い声で、菊に言ったのだった。





「僕とAちゃんの邪魔をしないでよ。」

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作者名:みずき@佐香智久くんlove | 作成日時:2017年2月6日 21時

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