現実 ページ17
あれから1週間経った
イベントまであと1週間
毎日病院で寝ているAを見に行った
会議は俺がいなくても進められるところは進めてもらった
毎日フジ、ヒラ、こーすけの誰かが俺の家に来た
部屋を綺麗にしてくれたり話しかけてくれた
話す気にはなれなかった
心がポッカリ空いた感覚がずっとあった
この1週間Aのいない生活を送った
_____あぁ、これからそれが当たり前になるんだ
そんな事を考え、嫌気がさす
まだ、生きているかもしれない
淡い気持ちを胸に抱く
涙が出なかった
悲しいという感情がわかなかった
Aがいない事を信じられなかったから
どこか身体に力が入らなくて
ご飯を食べる気力もなくて
会議だって嫌になった
そんな時最俺メンバー全員で家に訪ねてきた
ヒラ「…キヨ、話そう」
こーすけ「話さないと進まないぞ」
フジ「キヨ、現実みろ」
キヨ「……っ…」
声を出そうとした
出なかった
1週間話さなかったから
こーすけ「もうすぐイベントだろ?」
ヒラ「そんな顔でファンの前に出てくつもり?」
フジ「そうだべ」
キヨ「…っ俺、実況やめる」
1週間ずっと考えてた
Aがいるから実況してお金を稼いでいた
2人分の生活を支えられるように貯金だってしてた
ただ、もう意味ない
貯めたお金も、買った指輪も
実況も
フジ「っざけんな」
キヨ「…は?」
フジ「ふざけんなって言ってんだよ!!」
ヒラ「キヨは実況を捨てていいって思ってる訳!?」
キヨ「…別に。実況は楽しかったけど
ほら、Level5.finalだろ?
引退するんじゃって騒がれてたし
今が丁度いいやめ時だと思う、俺は」
こーすけ「俺らは?」
キヨ「俺がいなくてもお前らは出来んだろ」
こーすけ「馬鹿じゃねーの
お前がこの世界に俺らを引っ張り込んで来た癖して
辞めて、後は頑張れよってか?」
ヒラ「キヨは最終兵器俺達のリーダーだよ」
フジ「そーだべ。しかもお前を、キヨを待ってる視聴者がいっぱいいんだよ
確かにAちゃんがいなくなって、現実を受け止められないのも仕方ない
けど、頼むから今は1週間後のイベントを考えろ」
ヒラ「直前でやっぱ無理だから辞めるなんて無しだよ」
こーすけ「残り1週間、全力で走りきれ
そのあとの事はイベントが終わったら考えよう」
キヨ「…わーったよ。……1週間な」
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作者名:オーロラ | 作成日時:2019年12月14日 13時