好きだから、嫌いになる。 ym . in (ページ14)

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Ep.14 ページ14

山田side

伊野尾さんが、今日の朝から俺を意識してるのには気づいてた

昨日は、思わずキスしてしまったけど

やっぱり、冗談って言って良かったみたいだな

「いやでもさ、なんで山田俺に着いてきたの？俺だけ呼ばれたから別に来なくても良くない？」

「·····まぁ、それは」

いい嘘がぱっと浮かばない。

ライバル減らしに来ました、なんて本音も言えないし。

「あ、分かったー。お前、俺がタダ飲みするのズルいから来たんだろっ！」

「はっ、ちげーしばーか！」

「はいはーい」

全然違う、的外れ過ぎる

なのに俺が嘘をついてると思ってるのか、おちょくりながら伊野尾さんは戻っていった

全く、無自覚で鈍感で、なんで俺はこの人を好きになったんだろう

伊野尾さんの背中を追って足を進ませた時、柱のそばに見えた人影

顔は影になって見えないけど、······なんでここにいるんだよ

「涼介、」

「俺仕事戻るんで」

横を通り過ぎようとしたのに、掴まれた右手

俺はこの手を知っている

「あの人と住んでるんだ」

「裕翔には関係ないから、手離せよ」

振り払おうとしたのに、掴む力が強くなる

「仕事終わったら、話そ」

「俺は話すことないけど」

「涼介の部に行くから、待っててね」

噛み合わない会話

もう終わったことだから、今更話すことなんて無いのに

離された腕を掴んで、早足でその場を去った

裕翔の顔を見ないように

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