モブヤンキーの逆襲 tk × in

ヤンキー×ひ弱学生 ページ28

たかきside




いつもより早く起きたから、電車もいつも乗ってるのより早いやつに乗ってみた


そしたら、満員電車の中視界の隅に慧を発見




でもいつもと様子が可笑しくて、体調が悪いのか下を向いて何かに堪えているみたい


なんだ、なんか嫌な感じすんな






駅について慧の肩を叩くと、振り向いて俺を見るなり座り込んでしまった




「どうした？」


「あっ、いや、····ごめん、ちょっとびっくりしただけ」





手を伸ばして立ち上がらせると、泣いたのか頬には跡がついてる


俺の中のモヤモヤが、一気に確信に変わった




「····誰」


「っ、なにが？」


「痴漢したヤツ誰だって聞いてんの。早く探し出してお前にっ」


「いいから！」




握りしめた拳を、慧に引っ張られる


いつも見る涙目とは違って、その目には恐怖の色が混ざっていた




「喧嘩しちゃダメって言っただろ。それに、この人の多さじゃ犯人なんて探せない。」


「でもお前··」


「俺は、大丈夫だから」




恐怖を隠すように強くなる口調、俺を握る手に力が籠る


でも、大丈夫の一言で自分の気持ちを押し殺してるのが俺には見え見え



全く、相変わらず嘘が下手くそだな





「·····手、震えてんぞ。」


「·····」


「今は強がんなよ。怖かっだろ？」


「···うん」


「明日からは俺が守ってやる。」





涙が零れる寸前、手を引き寄せて周りのヤツらに泣き顔が見えないように隠す



頭を撫でたりしながら、慧の震えが落ち着くまで胸を貸してやった




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