モブヤンキーの逆襲 tk × in

他人の手 ページ27

伊野尾side




たかきの傷は案の定目を付けられたけど、俺が先生を説得してなんとか退学は免れた




それからというもの、特に何かある訳ではなく平凡な日々が続く


俺は毎日薮先生を目で追って、たかきとはたまに会ったら会話するぐらい





そろそろキスマークのことも薄れてきただろうし、なんかもっと踏み込んだこと聞いてみようかな


今日も満員電車に揺られながら、薮先生と会った時のことを脳内シュミレーション


あー、良いイメージしか浮かばなくて口元が緩んじゃう







「っ、！」





電車が揺れた拍子に、誰かの手が変に当たってきた


ガタンと揺れた一瞬、ワザとかどうかも判断できないくらい



······いやいや、さすがに考えすぎか。俺男だし、今のは揺れたからで






「····！」





違う、勘違いじゃない、これ完全に触られてる


俺の尻を撫でるように触られて、一気に全身に鳥肌が立った





「····ッ、！」




今すぐ助けを呼ばなきゃなのに、いざとなると恐怖が勝って全然声が出ない


俺の耳にはそいつの熱い息がかかってきて、···っやだ、気持ち悪い


駅っ、はやく着いて·····！






駅に着くまでずっとそいつは俺を触り続けていた


ドアが開いた瞬間直ぐに外にでて振り向いたけど、人の多さに誰が犯人なのかは分からない



はぁっ、怖かっ






「おいっ」







急に肩を掴まれて、思わずビクッと強ばる



思い切って振り向くと、その顔に安心したのか力が抜けてへばり込んでしまった





「たかきかぁ····」




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