また明日。《4》

♯170 陸 ページ20

【陸side】


彼女の部屋を出て、エレベーターを待つ間も、一階まで降りる間も、何ならエントランスの扉の手前でも少し立ち止まって、考えた

彼女の「帰っちゃうの？」って言葉とその後の
「ずっと会いたかったけど我慢してた｣って言葉

そこまで言わせちゃって、まともな受け応えも出来ないまま別れた

俺だって……
あの日から、それまでの比にならないくらい彼女の事気になってたし、実際会いたいって思ってた

男特有なのかな？好きとか言われちゃうと、意識してしまうし、相手の事をより考えるようになる

俺の場合、彼女に対する思いがゼロじゃなかったから余計に気になってたんだと思う

それなのに、ちゃんと受け応えも出来なかったし、フォローが出来た訳でもない
もし逆の立場だったら……？？あんな帰り方されたら、絶対傷付いたはず
そう思うと、自然ともう一度、彼女部屋に向かってた

出戻ってどう思われるかな？とか細かい事は考えない事にした。今俺が取るべき行動はもう一度彼女に会う事。彼女の為になるかは分からないけど、自分自身の為にも。戻ってどうするとかそんな事まで考えず、ただ本能に従って行動した

もう一度15階に着いて彼女の部屋まで行く途中、壱馬が部屋に入ってくのが見えた。
あそこって……壱馬の部屋だっけ？それともAちゃん？？自分の家じゃないし、遠目からじゃどっちかなんて判断出来なかった。ゆっくり部屋に近付く
どうか、壱馬の家でありますように……って祈りながら

……彼女ん家じゃん
さっきまでの熱量が一気に冷めてく
彼女に冷めたんじゃなく、今のこの熱量が冷めてった
俺、振り回されてるよな……気持ち、鷲掴みされてんじゃん……

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