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慌てて涙を拭った。けど見られてしまっただろう。
どうしよう…殴られる。
「殴らないから。落ち着いて聞いて」
反射的に頭を隠した私にさとみが声をかけた。
少し距離を取ってくれているのは彼なりの優しさ。
「Aちゃんがこっちに来なければ、るぅとくんがいなくなることもなかった。けどさ、Aちゃんもるぅとくんに会えなかったんだよ?」
いいの?とななもりが私の顔を覗き込む。
私は俯いた。そりゃるぅとに出会えなければこんな幸せは感じなかった。けどそのせいでるぅとが消えちゃうのなら…。
気持ちがごちゃごちゃしてもうわからない。
『わかんない…』
「Aちゃんさぁ、もっとわがままに生きようや。Aちゃんはるぅとくんに出会わんくてよかったんか?」
『違う…』
「俺たちと出会わんくてよかったん?」
『そんなことない…』
ジェルが私の顔を掴んで無理やり目を合わせた。
「じゃあいいじゃん。どんまい。これからるぅとくん探そう。行けたなら帰って来れるって」
もっとわがままに生きるのか…。
それってつまり、…そうか。
『私のせいでるぅとがいなくなっちゃってごめんなさい』
「まだわからな…」
私はころんの言葉を遮った。
『でもね、るぅとと出会えてよかった。ころんとか、みんなと出会えてよかった。後悔しないと言えば嘘だけどね、出逢えてよかった』
私がそうやって笑うと、ななもりが後ろを向いて目を押えた。
『ななもり、どうかしたのか?』
「Aちゃん、いいの。Aちゃんが成長してくれて嬉しいんだよ」
『はっ、はぁ!?私子供じゃないんですけど!!』
「嘘だな。盛ってるだろ。今年20とか嘘に決まってる」
ギクリと肩を揺らす。
するとここぞとばかりにみんなが私のことを囲う。
「何歳なの?実際のところは」
「Aちゃん、年齢の割に身長低いよね?まだ体が幼児体型のまんまだよ?」
『ちっ。……12だよ!』
「まぁそうだよね」
『いつから分かってたの?』
「初めて会った時でしょ」
「あれ?これってるぅとはロリコンになるんか?」
「年齢差恋愛も、俺は反対しないよ…」
『ちっ』
「相変わらず可愛くねーな」
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赤い果実推し(プロフ) - ましろさん» えへへ〜!そう言って貰えて嬉しいです!そろそろ完結します😢 (5月19日 18時) (レス) id: e74b3194bc (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - うわわ.ᐟ久しぶりの更新ありがとうございます😭✨このシリーズ、本当に大好きです… (5月19日 18時) (レス) id: d95368a5b3 (このIDを非表示/違反報告)
赤い果実推し(プロフ) - ちゃっかり宣伝。 (5月19日 18時) (レス) @page13 id: e74b3194bc (このIDを非表示/違反報告)
赤い果実推し(プロフ) - 叶乃さん» えっへへぇ〜!妄想だけで幸せになれるって幸せだよね(?)占ツク最 & 高 (2023年3月20日 19時) (レス) id: e74b3194bc (このIDを非表示/違反報告)
叶乃(プロフ) - かじつちゃーん!久しぶり!真っ赤な顔して話してる、るぅちゃんと夢主ちゃん…可愛い! (2023年3月20日 18時) (レス) @page6 id: aa9cc439ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤い果実推し | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/stprlo/
作成日時:2023年1月19日 19時