お兄ちゃんの昔話1.1 ページ8
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さとみside
俺の1番古い思い出は、親が幼稚園に迎えに来てくれる友達が羨ましくて、施設の先生を困らしたやつだ。
「なんでおれにはママとパパがいないの?」
「…なんでだろうね?」
「すてられたんだよっていってた」
先生は涙を目に溜まらせる俺を見て言葉に詰まった。
「だ、誰に言われたの?」
「ママにきらわれたんだっていわれた」
先生の問いに答えず、そんなことを言って泣いた記憶がある。答えてくれない先生が嫌いだった。だけど今思えばとんだ迷惑をかけたと思う。
それから3年。ころんが俺と同じように泣いて先生に怒られていたのを俺は見た事がある。
ころんは年長だった。
「なぁんでなのっ!!ぼくもおかあさんほしい!!」
「しかたないでしょ。我慢して。ね?」
その先生は面倒くさそうな顔をした。
俺は心臓がキュッとなるのを感じた。そんな顔したら余計イラつかせるだけなのに。先生なのに分かんないの?
「なんでぼくががまんしなきゃいけないの!!しょうくんはやさしいおかあさんがいるよ!なんでぼくには」
__おかあさんじゃなくてせんせいなの
そうころんが泣き叫んだ時、先生が目尻を上げた。まずい、怒った。ころんが暴れるぞ。
「うっさいな!!私だって知らない!私だってあんたなんかの面倒なんて見たくない!!どうせ親に嫌われたんでしょ!そうでなきゃこんなところ来ないわ!」
__親に嫌われたんでしょ
俺は呆然とした。
「兄弟揃って
吐き出すように言ってから、先生は青ざめて手を口に当てた。
癇癪を激しくさせたころんを前に、急におろおろしだした先生は、俺と目が合った。
目には動揺。
俺と先生はしばらく見つめあっていた。その時俺はどんな顔をしていただろう。
きっと言うつもりじゃなかったんだろうなぁ。不幸とかそういう単語をころんが知るわけないし、そんな先生じゃなかったし。
ぼーっとそんなことを考えてたら、駆けつけた先生に部屋に戻るように言われた。1人でベッドの上にいたら、5人が戻ってきた。
ころんは俺を見るなり泣きついた。
「ぼくたちはフコウなの?」
不幸の意味を知るなーくんだけがギョッとした。
「不幸かもな」
良い意味ではないことくらいはわかったんだと思う。
その日は6人でくっいて寝た。
以降あの先生を見てない。
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赤い果実推し(プロフ) - えシンプルに疑問なんだけどなんでみんな続編の方に移動しないの…?泣くんだけど🥺びえぇぇぇぇぇぇ! (8月7日 21時) (レス) id: e74b3194bc (このIDを非表示/違反報告)
赤い果実推し(プロフ) - 叶乃@相方らぶちさん» 叶乃ちゃーん!!ありがとうっ!!テストがいい結果でモチベ高いから更新も頑張るよ!!コメントもありがとうね! (6月20日 13時) (レス) id: e74b3194bc (このIDを非表示/違反報告)
叶乃@相方らぶち(プロフ) - 果実ちゃん!!テストお疲れ様〜!!100人突破もおめでとう…!!更新頑張ってね!! (6月19日 13時) (レス) @page45 id: aa9cc439ad (このIDを非表示/違反報告)
赤い果実推し(プロフ) - 叶乃@相方らぶちさん» わぁぁありがとおおおおぉ!うん、兄弟みんな必死になって頑張ってもらうよ笑でもまだクライマックスまで遠いぃぃ (5月31日 6時) (レス) id: e74b3194bc (このIDを非表示/違反報告)
叶乃@相方らぶち(プロフ) - 果実ちゃぁぁぁん!読ませてもらったよぉぉ!6人とも頑張れ〜!!夢主ちゃんのこと頑張って守るんだぁぁ(?)! (5月31日 4時) (レス) @page44 id: aa9cc439ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤い果実推し | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/stprlo/
作成日時:2023年3月22日 18時