探偵ごっこ〜2-20〜 ページ38
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「で、どっか乗り換えあんの?」
「お前さ…LINE見た?」
「え?見た」
さとにいはわざとらしくため息をついた。
「じゃあわかるだろ」
「いや、見方わかんないし」
「嘘つけ。めんどくさいだけだろ」
バレたか。
「このまま3時間乗って乗り換えして1時間。バスで1時間半。そっからちょっと歩いたら学校に着く」
「長〜」
「そんな悠長なことも言ってられないぞ?」
窓に映るさとにいは少しやつれて見えた。
「…何が?」
「姉ちゃん、俺らが自立したら自分を殺すぞ」
僕は思わず手を止めてさとにいの横顔を見た。
「自分を…?」
「うん。自分を」
自分を殺す。
その言葉は、僕の中にすとんと落ちた。
姉ちゃんのことだから、そうだよね。そうだよな。用済みになった自分はやっと解放されるとかそんなこと考えて1人で死んでいくんだろう。
そういうところは想像力に欠けてるよなぁ。
「でも、既に殺しかけているんじゃない?」
「え?」
「本当の姉ちゃんはどんな人だろう」
さとにいはまた外へ顔を向けた。僕も、ガラスに映る泣きそうな自分を見たくなくて弁当に向き直る。
「…さぁな」
揺れる視界。
変わる景色。
静かな車内。
悲しそうな横顔。
道のりはまだまだ長い。
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僕は体いっぱいに空気を溜めて、中のものを入れ替えるように吐き出した。
「あーっ!やっと着いたー!」
「うし!このまま学校まで行くぞ」
大きなリュックを背負い直し、さとにいと信号を渡った。
僕はバスの中で寝てたから、あまり疲れてはいない。初めての場所にウキウキしながら歩く。
街路樹は太く高い。長い年月をかけて育ったのかな。
自然が多いにもかかわらず、ビルも多くて都会らしさもある。なんというか、清潔感がすごい。
ポタッ。
急に、頬が濡れた。
上を見上げれば重たそうな雲。さっきまでは綺麗な青空が見えていたはずなのに。
上を見上げて初めて気がついたこと。
雲にも、濃さや形。それぞれの個性があって自然ならではの美しさがあること。
雲なんて全部同じだと思っていた。でも実際は違っていた。
多くの人が嫌う雨や雲。初めて綺麗だと思った。
思わず足を止めて見とれた。
姉ちゃんにはどう見えているだろうか。
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赤い果実推し(プロフ) - えシンプルに疑問なんだけどなんでみんな続編の方に移動しないの…?泣くんだけど🥺びえぇぇぇぇぇぇ! (8月7日 21時) (レス) id: e74b3194bc (このIDを非表示/違反報告)
赤い果実推し(プロフ) - 叶乃@相方らぶちさん» 叶乃ちゃーん!!ありがとうっ!!テストがいい結果でモチベ高いから更新も頑張るよ!!コメントもありがとうね! (6月20日 13時) (レス) id: e74b3194bc (このIDを非表示/違反報告)
叶乃@相方らぶち(プロフ) - 果実ちゃん!!テストお疲れ様〜!!100人突破もおめでとう…!!更新頑張ってね!! (6月19日 13時) (レス) @page45 id: aa9cc439ad (このIDを非表示/違反報告)
赤い果実推し(プロフ) - 叶乃@相方らぶちさん» わぁぁありがとおおおおぉ!うん、兄弟みんな必死になって頑張ってもらうよ笑でもまだクライマックスまで遠いぃぃ (5月31日 6時) (レス) id: e74b3194bc (このIDを非表示/違反報告)
叶乃@相方らぶち(プロフ) - 果実ちゃぁぁぁん!読ませてもらったよぉぉ!6人とも頑張れ〜!!夢主ちゃんのこと頑張って守るんだぁぁ(?)! (5月31日 4時) (レス) @page44 id: aa9cc439ad (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:赤い果実推し | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/stprlo/
作成日時:2023年3月22日 18時