僕たち問題だらけの兄弟です3 【stpr】【stxxx】

探偵ごっこ〜2-19.5〜 ページ37

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さとみside

都合がいいと全て許すんだ。成績が絡むのだったら尚更。

スマホに目を戻す前、言われたけど。



「お前なんかに期待してなかったけど、少し見直したわ。ま、結果残さなきゃ意味ないけど」



意味ないとかあるとか関係ねぇし。別に今期待されても嬉しくない。そもそもお前に見直してもらうためにやったわけじゃねぇ。

そんな言葉を飲み込んでリビングに背を向けた。


馬鹿だな。期待してなかった自分の息子に騙されるなんて。今に見てろ、お前なんかの為に誰が利用されるってんだ。

今まで俺たちをよく見てこなかったからだ。だからこうなってんのに。まだ気づいてない。今も俺たちを見ようとしないから。



ん…？見てないから…？


変だ。昔は監視されていた気がする。今日はテスト返却あった？じゃあ見せて。

そんな会話を一方的にされていたような。

いつからか聞かれなくなった。いつだ？原因は？俺らに興味をなくしたとき。それはいつの話だ？


俺の頭に、姉ちゃんが笑顔でテスト用紙を見せにかけていく姿がよぎった。

そうだ、姉ちゃんが明るくなったときだ。成績が良くなっていつでも笑顔の姉ちゃんが完成したときだ。


まさか姉ちゃんはそのことも計算してた？

自分に興味を持たれれば、俺たちに視線が向かなくなる。暴力が振るわれなくなることを。


じゃあ姉ちゃんが急に優等生ぶってたのは…。俺たちの……為？


全てが当てはまった気がした。するりと心の中に入ってきた。その瞬間、心臓を掴まれた感覚がして、俺はよろめいた。

壁に手を置いて俺は目を覆った。


どうして…。姉ちゃんの目的。価値観。考え方がわかった今の俺には、これから姉ちゃんがしそうな事がありありと想像出来てしまった。


このままじゃ姉ちゃん…。死んじゃう。




姉ちゃんの人生をかけた目的は俺たちを守ることなら。

自分が結婚してお嫁に行ったら俺たちを守りにくくなることは一目瞭然。

だがきっと、自分が抗えば俺たちがもっと怒られることは姉ちゃんもわかっている。

だから、受け入れたんだ。抵抗しなくて。

俺らが自立したら…目的はもう果たされたと言える。

目的がなくなったら……姉ちゃんはきっと死ぬ。

価値のある自分を殺すことで苦しみから解放される。
尚且つ両親を苦しめられる。


俺はメモ帳を破ってメッセージを書くと、ドアの隙間から姉ちゃんに見つかるように置いて荷造りを始めた。






『“いままでも、ありがとう”…？』

『……。』

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