僕たち問題だらけの兄弟です3 【stpr】【stxxx】

探偵ごっこ〜2-13.5(2)〜 ページ30

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俺には予想もつかないような苦痛だったはず。俺はなんて恵まれていたんだろう。

当たり前が当たり前じゃないという意味を初めて理解した。

こんな、まだ大人にもなりきれていないような子たちが抱える闇は、どれほど黒いのか。

小1だった彼らの純粋さは、どのように汚されてしまったのか。

自分たちが汚されたということに自覚はあるのだろうか。



いや、ない。確かに聡い子ではある。だけど、そこまで気づいていたらそれは何か物語の主人公だろう。

その主人公がハッピーエンドまで持っていけるのなら良いさ。だけど、そんな世の中甘くない。そんな可哀想な主人公なんて、不憫でならない。

居るのかな、そんな人。虐待とかされてて、笑顔でいつも隠してて。勉強が出来て運動もできる。…いるよね、きっとどこかに。そういう人は揃いも揃って、人を信用しないんだ。
溜め込んで溜め込んで、結局は迷惑をかけることに変わりはないのに気づけないんだよ。



「懐かしいな、僕らが怒られたら、必ず姉ちゃんが慰めてくれました。あなた達は悪くない、私の自慢の弟よって言って」



ころんはちょっと笑った。



「でもね、僕見たことあるんすよ。姉ちゃんが殴られてるとこ」

「……、」

「見たくなかったなぁ…！いつも頼りになって、背中の大きな姉ちゃんが為す術もなく暴力に耐えるだけの表情は、見てるだけで苦しくて。多分僕も同じ顔してたんだろうけど」



ぽたっ。



「だけど…っ、姉ちゃんは
“私を沢山殴っていいから、あの子たちにはそんなに殴ったりしないでください。私のことは沢山蹴っていいですから”
って、土下座してお願いして…っ…ぅ」



ガタンッ



「先生…？何してるんですか…。」



俺は2人のことを抱きしめていた。2人の肩の間に顔を埋めるようにして泣いた。

俺が泣いちゃいけない。俺が泣くべきじゃない。

そんなことはわかっている。だけど、2人が静かに泣いてたら、苦しくなっちゃうじゃん。


ガキのくせして強がんな。

このクソガキどもが。


そんなに我慢する必要なんざ無いんだぜ。

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