僕たち問題だらけの兄弟です4 【stpr】【stxxx】 (ページ44)

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Aside

体が揺れ、軽く打ち付けられるような衝撃で目をゆっくりと開いた。

サラサラとした肌触り。車特有のエンジン音。ここは…車の中？私は、何をしているのだろう。

時間が経つにつれだんだん記憶が戻ってくる。

そうだ、私はまさとが抱きついてきた時に意識を失って、それで…。

「あ、おはよう、A」

その声にビクッとして振り向けば、隣にまさとがいた。

「あの時Aったら気絶するから、車まで運んだんだからね？あ、これから僕らの新しい家に行くんだよ」

『新しい家…？』

まさとはにこりと笑い、私の額に唇を落とす。

「そうだよ。僕たち2人だけのおうち♡」

私の体をなぞるように手を滑らせ、強く抱き締めた。

「嬉しいなぁ。やっと2人きりになれるんだ。もう邪魔するものは何もないんだよ」

噛み締めるように囁くと、さらに腕の力が強くなる。あまりの強さに私は呻いた。

「あぁ、ごめんね。強くしすぎちゃった」

まさとが離れると、私は咳き込んでから聞いた。

『私の…兄弟はどう、なったの？』

私はまさとの目を見て地雷を踏んだことを理解する。

「ねぇ、なんでそんなこと聞くの。もう僕らは家族なんだからさ、アイツらのことなんか忘れてよ。僕のことだけ考えればいいから」

私はまさとの腕の中で小さく頷いた。

もう手遅れなのだ。何もかも。やはり遅かった。不可能だった。最初から。

無理だということを突きつけられると、自分でも驚くくらい目が覚めた。

ああそうだ。私はきっと夢を見ていたのだ。いい加減現実を見なければ。これからは、まさととの生活を死ぬまで過ごすのだ。

しばらくすると、車が止まって、扉が開いた。

「着いたよ」

ドアを開けたのはあきとで、私を外へ出るよう促した。

「あきと、ありがとね。じゃあ、帰っていいから」

まさとは、あきとのことを見向きもせずに言うと、私の腰に手を添えた。

「さ、僕の可愛いお嫁さん。一緒に行こっか」

『…うん』

家に入る前、あきとをちらりと振り返った。別に、助けて欲しいとかではない。ただ、気になっただけ(･･･････)。あきとの表情は一瞬しか見えなかったが、結婚式に行く車に乗る前に見た、莉犬と同じ顔をしていたのがわかった。