僕たち問題だらけの兄弟です4 【stpr】【stxxx】 (ページ39)

今日:13 hit、昨日:3 hit、合計:10,829 hit

8-3 ページ39

。

目を開けると、真っ暗闇だった。

そうだ、昨日はトランプで遊び、夜遅くまで盛り上がって…。そこから記憶が無い。

私は寝落ちしたのだろうか？いつになく気が緩んでいる。寝落ちなんて何年ぶりだろう。

時計を見ると、ちょうど3時を回ったくらいだった。

りいこさんはちゃっかりベッド。他のみんなは絨毯の上や椅子の上で雑魚寝していた。下敷きにされて苦しそうな赤髪もいるけど。

寝顔がみんな似てる。可愛い。一人一人写真を撮って、それを眺めていると、急に、背中に悪寒が走った。

『何……』

起きている人が1人しかいない空間に、私の息だけが聞こえる。

そして、廊下から足音が聞こえてきた。

コツン、コツン、コツン、

ゆっくりとした足取りに私の息はさらに荒くなる。

どんどん音は近く、大きくなっていく。
比例して、私の心臓の音も早くなっていく。
扉の方を振り返った。

そして緊張が張り詰められ、耳が痛くなりそうな頃、足音がピタリと止んだ。

まさか、足音の主はこの部屋の前じゃないだろうか。こんな時間に誰が出歩いているのか。

まさか…いや、有り得ない。私は自分で悪い想像を打ち消した。
こんな早くに見つかるはずがないのだから。

では誰が。

足音は止んだまま、私はドアの方を睨んでいた。

ガッ……カチャ…

耳の痛くなるような静寂の中、ドアに何かが差し込まれた。誰？誰なのだ？
私は急いで部屋の中の人数を確認した。
さとみ、なーくん、ジェル、ころん、莉犬、るぅと。りいこさんもいる。

そいつは私たちじゃない。

私は泣きそうになる。誰がこんなことをしようとしているのか。

お願い、開かないで。

誰も部屋に入ってこないで。

頭の中で警報が鳴り響く。だけど私は金縛りにあったように扉から目が離せない。

キィ……

不気味な音と共に扉は開いた。

顔を覗かせたのは…。

「あれぇ？起きてたんだ。迎えに来たよ、A」

想像していた最悪の、まさとだった。

私は恐怖で足先の感覚が消えた。ゆっくりと近づいてくるまさとに、私は何も出来ない。逃げたいのにまさとに釘付けで動けない。

「他のみんなは寝てるんだね」

まさとは辺りを見渡しながら近づき、ソファに座り込んだ私の前に立った。

「ねぇ、A」

まさとが屈んで、私の目線に合わせる。まさとの目は真っ黒で、底が見えない。まさとの瞳に、顔を強ばらせている私が写っている。

「つかの間の鬼ごっこは楽しかった？」