「生きていた」って笑顔で吠えて

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“隣のクラスの理恵”さんに及川さんのことを聞かれた日の部活終了後



部室で各々着替えや帰宅の準備をしているとき




『及川さん』



及「ん？なにー？」




『及川さんって今お付き合いしてる人とかいるんですか？』



休憩時間に聞かれたことを聞くことにした




及「どっちだと思う？」




むふふと笑いながら聞き返される

いや、聞いてんのこっちなんだけど、と若干思いつつ


『うーん、わからないですねー』


笑いながらこたえた



及「えーどっちでもいいから言ってみてよー」



『…ハハハ、どっちですかねー？』




自分の中では笑えてたつもりだった


が、





岩「山中、笑えてないぞ」




岩泉さんに指摘された

まずいと両手で顔を全て隠して



『なに言ってんだよ、笑えてますよ、岩泉さん』



岩「いや、見えねーよ。
あと焦りすぎて敬語とタメ語混ざってるぞ」




「じゃ、お疲れ様でーす」「お先でーす」


などとバレー部の人たちの声が聞こえてくる

慌てて手を下ろし、そちらの方に顔を向けて


『お疲れ様でした』


と声を出す



岩「山中に変に絡まないで普通に教えてやれよ」


及「えー」


岩「えーじゃねーよ」



ふたりの会話が聞こえてきて、再びそちらに顔を向け直して、


『で、どっち』



再び回答を求める

岩泉さんと俺からじっと視線を向けられて、観念したように


及「わかったわかった言うよ。今はいません」


ようやく回答をくれた

こたえを知れたから今度から誰に聞かれてもこたえられるぞ、よかった



及「なんで急にそんなこと聞いてきたの？

サンチューそういう話興味なさそうなのに」



たしかに人の色恋沙汰は興味はない
でも今回は 仕方なく だ


及川さんはハッと何か思い付いた顔をした



及「もしかして…サンチュー俺のこと狙って」



『ねーよ』



食いぎみで言ってしまった



岩「あれだろ？女子に聞かれたからとかだろ？」



そうなんですよ岩泉さん



岩「及川に直接聞けばいいのにな」



本当にそうなんです
そう思います


うんうんと頷きながら聞いていると




及「きっと俺がカッコよすぎるから恥ずかしくて聞きにくいんだよ」




『・・・』



何も言わず鞄を肩にかけ、まだ部室にいる人たちに


『お先に失礼します』



と一礼して部室を出た







及「冗談だって！聞きたいことあるんだって！待ってよサンチュー！」


なんて聞こえてきたが、今日は聞こえないフリをしよう




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