運命の人。*Hiroomi.T*

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Aちゃん。やっぱり想ってもムダじゃないかな




燃えるゴミの袋に無惨にも捨てられた
チューリップの花束



Aちゃんとの初デート
花束を買って行ったら喜んでくれて
花瓶に挿して写真撮って
目をキラキラさせてどうしたら長持ちするかな
って調べて2週間ほど綺麗に咲かせてくれた



対して真美は？

水にも入れず、貰ったまま部屋のテーブルに置いて
そのままゴミ袋へ


新婚の時はAちゃんほどではなくても
水に挿して毎日水を取り替えるくらいはしてくれたのに



まだ枯れていない
チューリップの花に申し訳なくなる



それでも機嫌がいい真美は
最近は俺に構ってくれる


晩飯も作ってくれるし
夜だって誘ってくるし
笑顔だって向けてくれる



でも知ってる

これには裏があること

相手が真美と一緒になりたいから
離婚しようかなって言ってきたこと



どうしよう……本当に真美と離婚になったら


Aちゃんがいてくれてるから保てる心の状態


Aちゃんが笑ってくれるから
俺の要望に応えてくれるから
優しくしてくれるから

だからなんとか真美と一緒にいられてる


真美を想っても報われない

こんなに大切に想ってるのに


真美とインテリアショップに買い物に来た

ベットカバーが欲しいって寝具のコーナーにいたら
見たことある人


あ、Aちゃん
偶然だな、、

今日はスカートだ、可愛い似合ってる

「雅哉、こっちはどう？」



雅哉……彼氏？

ズキッ

めっちゃ痛い
胸がぎゅうって苦しい


Aちゃんも俺だけを見てくれない


分かってる
真美とはもうムリだって


でも、好きだから好きな"はず"だから
側にいさせてほしい



Aちゃんから目が離せない


Aちゃんあんなふうに笑うんだな
あんなふうに甘えるんだな


腕を組んで歩く姿にまた苦しくなる


Aちゃん俺の恋人でしょ？
俺と契約したんでしょ？
俺にはあんなことしないじゃん


って……彼氏のことが好きに決まってるよな



俺は所詮、契約でしかなくて
Aちゃんは優しさで愛人をやってくれてるんだ



Aちゃんの好きそうなカップ
顔の近くに持っていって笑ってる


「お揃いだ〜」


嬉しそうだねAちゃん
でも、彼氏でもお揃いは嫌だ

俺とお揃いにしようよ



Aちゃん……



「み、、臣、臣ってば！」

「ん？ごめん何？」

「どっちがいい？臣とお揃い！」

「こっち」

「ふーん、じゃあこっち！」

なんでだろう
真美とお揃いが嬉しくない

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