はじめて。*Takanori.I*

21 ページ21

·





「怪我したって治るのに、、おかしいですよね
けど、運動しないと太っちゃうから
週に2回ジムで1時間程決まったプログラムをして
母が要求する体型を維持するようにしてます」



「厳しい親なんだね
鉄棒して落ちたら唆(そそのか)した俺
処刑かも」


そう言いながら笑ってる


「じゃあ逆上がり見てみる？」

「できるんですか？」


「どうだろ？」


余裕な笑みを浮かべて
「見てて」

「はい！」


軽々体をくるりと上に一転させる

逆上がり成功してるの
初めて見た！



「すごーい！」

「でしょ？」


「すごいです！スゴすぎます！」


「いぇーい！」
「い、いぇーい？」

私のせいでぎこちなくハイタッチをしてから
急にしゃがむ剛典くん


目線を合わせて聞いてみる


「どうしました？」

「ん？カッコつけておいて失敗したら
ダサいじゃん？だから成功してすごい安心してる」


「剛典くんはどんなときも優しくてカッコいいです」

「褒めてくれてありがと」



「ホストの剛典くんも素敵だけど
私に見せてくれる剛典くんはもっと素敵」


「そっか、ありがと」

柔らかく笑った剛典くんに
胸がときめく


「水筒貰っていい？喉乾いた」


「ちょっと待ってくださいね」


若草色の水筒を渡す
飲んで喉仏が動いてる姿に
確かにカッコいいと思った

漫画で見た時はそうでもなかったシーンだけど
実際見ると違うみたい



「次どうしよっか」

「あっちに噴水ありましたよね？
見たいです！」


「おっけー、行こうか」


私の髪を揺らした風が少し冷たい

空を見るとさっきより雲が厚い


天気予報じゃ今日晴れなのに……



噴水までの道にお花が咲いている


綺麗


噴水近くのベンチに座った

「リュック貸して？」

「はい、」


2段目のファスナーを開けて
これもやったことないと思うよ
と言って取り出したのは……



「シャボン玉！」


「大正解！教えてあげるからやってごらん」


漫画で見た通りのもの


剛典くんが実演してくれる

ツンと触ったら簡単に弾けてしまう


「液つけてふーっ、とするだけ」


噴水をバックに
虹色のシャボン玉が浮く



すごく素敵な景色



海外旅行先の幻想的だったり優雅だったり
特別な景色ももちろん感動するけど



こんな身近に心が動かされる
素敵な景色があるなんて……！


楽しくて何度も何度も
シャボン玉を作る


剛典くんは飽きずに付き合ってくれた

22→←20

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す