はじめて。*Takanori.I*

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剛典さんは昨日と同じ。


髪を乾かすと

スマホを片手にソファに座って
お客様に連絡


「ご飯どうぞ」


「ありがとう」

チラりと私に微笑んで
すぐスマホ



「Aちゃん」

「なんですか？」

「卵焼き食べさせて」

「え！？」


「俺の彼女でしょ？
スマホから手離せないし
ほら、あーん」


恋人ぽいけど！

手繋ぐので精一杯なのに……！



「あーお腹すいた」

「忙しいなぁー」


「食べさせてくれないかなー」




きゅるるんと見られて

分かったよ……！


恐る恐る口元に甘い卵焼きを持ってく


「あ、あーん……」


口に入れてもぐもぐ


「美味しい、もう1個ー」

「あーん……」



私は顔真っ赤で
指先が震えてて
心臓バクバクで


なのに剛典さんは美味しいって言いながら
普通にしてて


悔しいけど最初から敵わないことを思い出して
私もパクッと卵焼きを食べる


我ながら美味しい



ラップに包まれたおにぎりも
食べてしばらくお客様に連絡してる
剛典さんを見つめてた



9時になろうとしてる所で


ひと段落〜ってスマホぽいっとして
伸びをした




「Aちゃん言いたいことあるなら
言っていいんだよ？」

はて？なんのこと？


「見つめてくるから、何かあるのかな？って
ワガママだって叶えるのが
恋人だと思うからなんでも言って」


剛典さんは本心なのか演じてくれてるのか
分からないギリギリの表情と声で私にそう言った



「おにぎりと卵焼きありがとう」

「明日は何にしますか？」


「んー、何にしよう
Aちゃんが得意な料理は？」

軽食のメニューで得意なの……



「得意かどうかは置いておいて
ガレットはよく作ります」


「オシャレ〜じゃあ明日はガレット食べたい」

「はい！」

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