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31話。 ページ31

Aside


『…実を言うと、あなたの言う通りです、ギアッチョ。』

ギアッチョははっと顔をあげ、私を見た。

『私、最初メローネの顔がとても好きでした。彼は私の求める女神そのものの顔だったんです。思いませんでしたか?彼の容姿は女性よりも美しい。ギアッチョだって1度くらい思ったことあるはずです。…私、考え方とか古い人間なので…彼が男であることがとてもショックだったんです。彼がもしも女性だったら、本当の女神だった。それこそ私は無条件で命を捧げたいと、そう思いました。…けど彼は、そういう次元じゃあなかった。性別とか関係なく、彼こそ本当の「女神」だったんだと気付かされました。…私を受け入れてくれたときから、私の全ては彼と共にあります。』

メローネのことを考えるだけで、うっとりと思考が止まるような感覚を味わう。そんなことは初めてだった。

「……メローネも、似たようなことを言っていた」

私の言葉を聞いたギアッチョは、ぽつり、ぽつりと話し始めた。

「メローネも、俺の全てはAと共にある、そう言っていたんだ。…」




『…「どうかしてる」って顔ですね。そう思うのも無理ないです。私もおかしいってこと、ちゃんと分かってますから…』


ギアッチョ、そんな顔しないでください。さすがに傷つきます。
彼の顔は、信じられないものを見たかのように引きつっていて、そこには恐怖さえ見える。もちろん、私たちがおかしいのは分かってる。でもまさか、こんな出会いがあるなんて私も思ってもみなかった。私でさえ、ギアッチョの信じられないという気持ちを理解できるのだ。当の本人がだ。


『…ギアッチョ、そんな顔しないで…大丈夫、私とメローネ2人一緒に死ぬことはないです。』

「…なんで、そう言えるんだ」

『私がメローネのこと守りますから。先に死ぬのはきっと私だけど…メローネさえ生きていれば、あなたも辛くないでしょう?』


「………っ、」

ギアッチョは思い切り私を抱きしめた。
急でびっくりしたけど、そうだ、イタリアの人は結構すぐにハグをする。

「…お前も、死んだら…俺は悲しい…っ、」


『…じゃあ、死なないように頑張ります』

そうやって彼の背中をぽんぽん叩くと、耳元ですすり泣く声が聞こえた。

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梅花 - こんにちは12話も最高です くるちゃんさんもこれから仲良くできたら嬉しいですお二人共これからもよろしくおねがいします (2021年9月21日 10時) (レス) id: 7df7a78d6a (このIDを非表示/違反報告)
4番くん(プロフ) - くるちゃん。さん» ありがとうございます!これからも見てくれると幸いです。 (2021年9月19日 17時) (レス) id: 2a341e36a7 (このIDを非表示/違反報告)
くるちゃん。 - とっても面白かったです! 読みやすいし 内容がしっかりしてるし、最高です! 続き楽しみにしてます! (2021年9月19日 14時) (レス) id: 653f3c1549 (このIDを非表示/違反報告)
梅花 - あひゃーペッシィィ可愛いなぁーおい   次回も楽しみにしてますね (2021年9月19日 10時) (レス) id: 7df7a78d6a (このIDを非表示/違反報告)
梅花 - あっーー10話でしたぁ 失礼いたしました (2021年9月17日 23時) (レス) id: 3d213de61e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:4番くん | 作成日時:2021年9月5日 8時

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