33話。 ページ33
Aside
｢...で、問題はこの主犯格だった鈴川聖弘だな。この詐欺師をどうするか、だ｣
アイヌの女性たちはみんな、コイツとはもう関わりたくないと言っている。ということは私たちの好きにしていいということだ。
｢面倒だ、殺して皮をはいじまえばいい｣
｢無抵抗の人間を殺すのか？｣
尾形上等兵の意見にアシㇼパさんは反対した。
少しピリッとした食う気が流れる。
けれど、それを鈴川本人が打ち消した。
｢網走から脱走した他の囚人の情報を持っている！｣
｢へぇ.....｣
｢コイツ、詐欺師だろ？時間稼ぎの嘘かもよ｣
『とりあえず連れて行って、土方さんたちと処遇を相談した方がいいのでは？』
｢嬢ちゃんの言う通りだぜ。とりあえず先を急ごう。樺戸監獄から1番近い宿で落ち合うことになってる。ほら、すぐそこだ｣
鈴川を連れて宿へ行くと、そこには永倉さんだけがいた。
｢悪い話があるぞ。白石が捕まった。今助けに行っているが多分無理だろう。そこで、せっかくここまで来てもらって悪いが作戦を練り直すために別の場所に移動したいのだが...｣
｢近くにコタンがあるはずだ。そこに潜伏しよう｣
ということで、宿に着いて早々コタンに向かうことになった。
『今日は歩いてばかりですけど、尾形上等兵、疲れてませんか？』
｢いや、大丈夫だ。お前こそ大丈夫か｣
『全然大丈夫です。何か荷物持ちましょうか』
｢ぷっ、尾形っ、Aちゃんのヒモなのォ〜？ぜ〜んぶ心配されてんじゃん！｣
｢うるせえ｣
｢杉元、尾形が羨ましいのか？｣
｢なっ！！ち、違うし！｣
なんだ、尾形上等兵と杉元さん、結構仲良しじゃん。
｢それより、Aと杉元はほんとに相性がいいな。お互いがお互いの弱点をカバーしあっている感じがする｣
アシㇼパさんにそう言われる。そんなふうに考えたことも無かった。
『私は...尾形上等兵が杉元さんを守れって言ったから守っただけで.....』
｢なんだろ...ちょっと傷つく...｣
『す、すみません！もちろん杉元さんのことは尊敬してますよ。ただ...』
次の言葉を探していると、アシㇼパさんからとんでもない言葉が飛んできた。
｢Aはどうしてそんなに尾形が好きなんだ？｣
『えっ』
｢ちょっ、アシㇼパさん！そんなド直球に聞く...！？｣
尾形上等兵を見ると、腕を組んでにやにやしている。
｢俺もそれ、知りてぇなあ〜｣
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名無し(プロフ) - 最高です！ (2021年5月2日 17時) (
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作者名：4番くん | 作成日時：2021年4月18日 8時
