【呪術廻戦】捨てられたΩ【男主】

28話 ページ28

あの日から自分の中で何かが吹っ切れたかのような気分になった
悟のことはまだ好きだし
今後彼以上に誰かを愛することなんてないんだろうけど
何故か今はスッキリした気分になっていた

番以外の誰かを受け入れたことによって
体の負担はあったけど気持ち的には軽くなった
俺を必要としてくれる人がいることが嬉しかった

これから俺は誰かを心から愛することも信じることも出来ないだろう。信じれば裏切られて傷つく事なんて昔から変わらない



『手に入れる前の日々に、戻っただけ』


そう割り切れれば楽だろうか
だけど、1度知ってしまったことをなかった事のように忘れることなんてそんな器用なこと俺には出来ない

優しい声も温もりも全部鮮明に覚えていて
それと同じくらい裏切られた痛みも覚えてる


目の前に立ちはだかった呪霊を
光を持たない瞳で見つめた



悟ばかりを責める気もない
誰だって秘密を持って生きている

それは俺だって同じこと
俺は...1人のかけがえのない命を殺してしまった



目の前に血を流して倒れる呪霊の亡骸を見つめながら
自らの腹に手を当てた
彼との間にできた繋がり
俺の唯一の家族

そんなものも一ヶ月前に切れてしまったのだけれど
いつか、彼にも話さないといけない日が来るのだろうか
自分が犯した罪
あの時から俺は壊れていたのかもしれない

呪霊を倒し終わった静けさに包まれた廃墟の中に目的も持たずに足を進めた





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？「可哀想なA。..せっかく僕がAに触れることを許してあげたのに..。Aは僕のものだ。君が大切にできないなら、返してもらうよ、五条悟。..」




Aが去った後の静かな森の中に
たった1人男が立って呟いた
真っ黒な髪は暗い森に溶け込んで
闇の中に光る瞳は真っ赤に濁っていた

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