オトンとオカンと弟 ページ25
大平獅音side
「若利、ちょっといいか?」
「どうした」
あー寝るとこだったかな
「問題ない。寝るまで時間はある」
「そうか。じゃあ俺の部屋来てくれない?」
ほんとは副主将もいた方がいいんだけど、生憎この寮はレギュラーしかいない。
「それで、話とはなんだ?」
「蓮のことなんだけど……」
ピクリと反応する若利。だよな、お前も蓮のこと大好きだもんな。みんな家族みたいに思ってる。家族同然なんだ、俺達は
「さっき帰ってきた時、様子がおかしかったんだ。多分青城でなんかあったんだと思う」
「……だがそんな風には見えなかった」
絶対隠してた。あといい、なんて言ってたけど全然よくない。むしろ悪いだろ
「俺らに心配かけないためじゃないかなぁ。ほら、蓮ってそういうの嫌うだろ?」
選手第一の蓮にとって、自分のことは二の次。体調はマネ業に繋がるから管理はしてる。でもそれ以外のことには無頓着なんだ。俺らさえ良ければそれでいいみたいな考え方をするやつだからな
「それは良くない」
「……で、蓮に聞いたんだ。そしたら、"私って我儘なんだなーって"だって。どう思う?」
「逆だ。蓮は欲が無さすぎる。自分のことには無関心だと思う」
「そうなんだよ。でも分かってないんだよなぁ、あの頑固者は」
コンコン
「大平さん、ちょっといいですか」
賢二郎……?
「失礼します。……牛島さんもいたんですか」
「ああ、蓮のことで相談を受けていた」
「!そう、その姐さんのことなんですけど。姐さん、腕怪我してました」
「怪我?あっちで普通に怪我したとかじゃなくてか?」
「痣ですよ痣。しかも手形の」
!!誰かに掴まれて出来た痣か……?でも相当な力で掴まないと痣は出来ない
「それは確かなのか」
「さっき指摘したら隠してたんで、確実かと」
「はあぁぁ……なんで言ってくれないかな」
「す、すみません」
「いや蓮だよ蓮。全く……なんかあったら言えってあれほど言ったのに……」
そんなに信用ないかよ俺達は……
「蓮に聞くのが早いんじゃないか?」
「ナイスです牛島さん。大平さん、行きましょう」
「ああ、うん」
聞いても話してくれんのか……?
56人がお気に入り
「オリジナル」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:すみた先生 | 作成日時:2020年8月14日 15時