私だって1人の高校生なんだよ ページ24
『ただいま……』
「おかえり……ってどうしたの、そんな顔して」
『獅音……』
たった数時間って言ったの私なのに、顔見ただけで寂しかったことを自覚した。
「……ほら」
『ん……』
ああ、暖かいな
「なんか嫌なことあった?」
『……私って我儘なんだなーって』
「……そうか」
獅音は基本的に私を否定しない。同時に肯定もしない。だからいいんだ。私は同情とか意見を求めてる訳じゃないから。
『……ん。あといいよ、行こ。あ、出迎えありがと』
「大事なマネージャーさんだからな」
『……うん』
部活で疲れてるはずなのに、ご飯だって早く食べたいはずなのに。
「あ!蓮おかえリ〜!」
「帰ったか」
「何もされてないですよね?」
「姐さん!」
『ただいま!大丈夫だったよ』
不安を悟られるな。みんなの前では笑顔であれ龍上蓮。余計な心配をさせるな
「……」
ごめんな獅音。何も言わないでくれ。私にはこうすることしか出来ないから
『ご飯は?』
「みんな姐さんを待ってたんすよ」
『そっか。ごめんな!じゃあ早く行こう!食堂が閉まる前に』
こんなに優しくて強いから、私が足を引っ張ってはいけない。常に彼らの姐さんでいたい。余裕を持って、みんなを支えたい。
まだ、この場所にいたい。
『やっぱ美味しいな!おばさーん!このレシピ後で教えてー』
「もちろんよ〜他のも教えてあげる」
『最高!』
今度の休日はお菓子作りでもしようかな。
「……」
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作者名:すみた先生 | 作成日時:2020年8月14日 15時