エースのお言葉 ページ11
ある休日の朝。
『あ、若利おはよ』
「おはよう」
今日は部活も休み。休む日は休むっていう決まり。適度な休息を取らないとバレーに支障が出るからね。だから今日はみんな寝てるなぁ今だって7時半だけど起きてるの私と若利だけだし。まあこれが普通だから何とも思わないけど
『ロードワーク行こ』
「俺も行く」
遅めのロードワーク。この日はいつもこうだ。
『今日は短めにしよっか。んで戻ってゆっくりしよ』
「分かった。ではこのコースでいいか」
この辺のことは私より若利の方が詳しいから、コースはいつも若利に決めてもらっている。こっちに来たのも3年前だし。中学までは東京だったもんな〜寮生活になってからは年始とお盆に帰るくらいだ。
『元気かなぁ〜』
「誰がだ?」
『んー?友達。東京のね』
「連絡は取っていないのか?」
『取ってるけど……やっぱり顔見た方が確かじゃん?』
と言ってもあいつらがそうそう変わるとも思えないけどね。
「……」
『どした?若利』
ビミョーに不貞腐れ顔だ。……!まさか
『嫉妬ですか若利くーん?』
ニヤニヤしながら言う私に至極真面目な顔で口を開いた若利
「お前が白鳥沢以外の奴と仲がいいのは……少し、気に食わない」
『!!へぇ〜』
私より10センチ以上も上にある頭を撫でる。
「なんだ」
『いや?可愛いなーって』
あ、また不貞腐れた。言われ慣れてないもんね、知ってる
『大丈夫、私は若利たちが大好きだぞ!私の居場所はここ白鳥沢男子バレー部だからな!お前達が私を必要としてくれている限り、私がここを離れることはないよ。ほら機嫌直せ』
「……お前が姐さんと言われる理由が分かった」
『今?』
「お前は俺が欲しい言葉をくれる。言わなくても分かっているだろう?」
『なんとなくね。3年も一緒にいれば大体は分かるんじゃないかな』
今度は若利が私の頭を撫でた。うわぁ、私っていつもこれやってたんだな。なんか恥ずかしいな……撫でられるってあんまないし
「蓮だからだ。俺たちはお前を必要とし続けるし、誰がなんと言おうとお前の居場所は俺たちの側であって欲しい。」
ああ嬉しい。マネージャーになってからこういうことが増えた。その度に思う。
『私、ここのマネージャーでよかった!』
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作者名:すみた先生 | 作成日時:2020年8月14日 15時