命令7 ページ47
赤葦「A……2人は」
木兎「俺は……A」
木葉「俺はIだ……」
憔悴している木兎、木葉。赤葦は近寄り、しゃがみ込んだ。
赤葦「はぁ…………考えるの、もうやだ……」
木葉「お前もそんな風になんのな……」
赤葦「……俺を何だと思ってんですか。
鷲尾さん……尾長……雀田さん……白福さん……猿杙さん……小見さん……」
死んで行った仲間達の名を連ねる。1人、また1人。名前を口に出す度に色鮮やかな過去を映し出す。たった1週間前までは普通にバレーをしていたのに、死ぬかなんて考えもしなかったのに。たった1週間で何十年も老けた気がした赤葦は、そんな自分を自嘲した。
赤葦「なんで死んだんだろうとか……王様は何考えてんだとか……誰が嘘ついてんだろうとか……誰を信じればいいんだろうとか……
考えすぎておかしくなります」
一見平常に見える人は、実は一番闇を抱えていたりする。
赤葦「俺は平気だって思いたくて……怖がったりなんかしたくなくて……ずっと、いつもの俺でいたくて……」
自分を保っていたつもりがいつの間にか作られた仮面の下で怯えていた。普段の自分を作り、恐れなどない、死ぬなど有り得ないと。
木兎「赤葦はさ……考えすぎだよ。俺に言われたくないだろうけど」
しょぼくれ、とはまた違う雰囲気の木兎が赤葦に顔を向ける。
木葉「お前は考え無さすぎだもんな……」
赤葦「自分でも考えすぎだと思います。でも、勝手に考えるようになってるんですよ……」
考えることが怖い、もう何も考えたくない。実体のないものへの恐怖は感じたことがなかった。幽霊は信じてないし、そもそも怖いものなんてあまりない。いつもやっている行為が今になって怖くなるとは思わなかった。
木兎「俺には分かんねえけど……思ったこと口に出したり、自分の感じた通りに動いてれば考えずに済むと思う」
赤葦「普段の木兎さんですね……」
木葉「はっ……だな」
赤葦「じゃあ、変に考えるのはやめます。俺はもう2人を信じるしかないので、次の命令が来るまで極力動きません」
木葉「……そうした方が良さそうだな」
木兎「俺は黒尾んとこ行ってくる」
赤葦「え……何言って、……ってちょっと！木兎さんっ！」
赤葦と木葉が止める手を掻い潜って、木兎は音駒の部屋に向かった。
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すみた先生(プロフ) - 玲央さん» 是非最終章の最後ら辺を読んで頂きたい……！！勝手にエモさ感じてる奴がここに居ます……！ (2022年9月24日 15時) (
レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
玲央 - 今小説読んでいるんですけど、急に烏がでかい声で鳴き始めて鳥肌たった (2022年9月24日 14時) (レス) @page26 id: 6bc17f8fd6 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - 葵紫さん» コメントありがとうございます！私もホラーが好きで書き始めたのですが、楽しんで下さる方がいて本当に嬉しいです！応援の言葉、大変励みになります！ありがとうございます！ (2021年1月1日 16時) (レス) id: 16cbe631bd (このIDを非表示/違反報告)
葵紫 - ホラーが好きなので楽しみにしています。更新、頑張ってください (2021年1月1日 14時) (レス) id: a274d33eb0 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - むいみおさん» コメントありがとうございます！好んでいただける方がいて喜ばしい限りです。私も死ネタはとても書いてて心苦しいですが、最後まで書ききりたいと思います！応援ありがとうございます！ (2020年11月2日 7時) (レス) id: 16cbe631bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：すみた先生 | 作成日時：2020年7月25日 11時
