命令6 ページ42
4階廊下、そこに激しく動く影が2つ。
五色「っなんで俺が……!!」
五色は走っていた。長い廊下を全力で。夏の蒸し暑い空気を裂くように。
走る、つまり逃げているということは誰かが五色を追っているということで。
五色「なんで俺なんですかっ!!」
及川「俺が生き残るために決まってんじゃんっ!」
及川は速度を上げ、五色に追いつく。手を伸ばし、その背中を掴もうとする。五色は背中に冷や汗が伝うのを感じた。それと同時に頬を涙が伝う。恐怖からだった。
ドサッ
2人は倒れ込んだ。及川の手は、五色のシャツをしっかり握り締めていた。
及川「はぁっ……捕まえた……!」
五色「ひ……嫌だ……やめてくださ」
及川「嫌だね」
五色の言葉を遮り、及川はポケットに手を突っ込んだ。五色は涙を流しながらどうにか逃げようと試みる。
及川「逃げないでよ」
五色「嫌だ……死にたくない……!」
及川「そんなの俺だって一緒さ」
及川はまるで学校で振りまくような笑顔で五色に笑いかけた。その甘いマスクは、五色にとって悪魔の笑みにしか見えなかったのだが。
及川「ジャーン!これはなんでしょ〜?」
五色「!……なんで、こんなこと……あんた……セッターじゃないか……!」
及川「俺からしたら"だから何?"って感じだけど。
セッターの手は人殺しで汚しちゃいけない?今それを言うのは、俺に死ねって言ってんのと同じ。この先バレーをするなって」
及川は常識より自分の生存本能と未来を取った。
人殺しは犯罪?そんなの知ってる。でも俺は生きたい。死にたくない。
及川「俺は……生きるためだったら何だってやる!」
五色「っやめ……!」
及川は五色の首に当てていた刃を引いた。
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すみた先生(プロフ) - 玲央さん» 是非最終章の最後ら辺を読んで頂きたい……!!勝手にエモさ感じてる奴がここに居ます……! (2022年9月24日 15時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
玲央 - 今小説読んでいるんですけど、急に烏がでかい声で鳴き始めて鳥肌たった (2022年9月24日 14時) (レス) @page26 id: 6bc17f8fd6 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - 葵紫さん» コメントありがとうございます!私もホラーが好きで書き始めたのですが、楽しんで下さる方がいて本当に嬉しいです!応援の言葉、大変励みになります!ありがとうございます! (2021年1月1日 16時) (レス) id: 16cbe631bd (このIDを非表示/違反報告)
葵紫 - ホラーが好きなので楽しみにしています。更新、頑張ってください (2021年1月1日 14時) (レス) id: a274d33eb0 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - むいみおさん» コメントありがとうございます!好んでいただける方がいて喜ばしい限りです。私も死ネタはとても書いてて心苦しいですが、最後まで書ききりたいと思います!応援ありがとうございます! (2020年11月2日 7時) (レス) id: 16cbe631bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみた先生 | 作成日時:2020年7月25日 11時