命令6 ページ39
白布「俺はっ……もう嫌です……!こんな事、もうしたくない!」
牛島「それは死にたいという事か」
白布「っ……そうです」
牛島は白布の目線に膝をつき、真っ直ぐ白布を見つめた。目は合わないが、逸らすつもりは無いぞという意味で見つめた。
牛島「天童と瀬見の命を無駄にするな。とは言わない。言えない。
だが、お前はどうだ白布」
2人に守ってもらった。それでも尚死にたいと言えるか。
白布「2人に守ってもらった結果がこのザマじゃないですか……!俺なんか何の役にも立たないのに……天童さんや瀬見さんの方がよっぽど価値がありますよ!」
何も出来ない、何も返せない、何も守れない。挙句の果てには、守りたかった人でさえこの手で──────────
牛島「等価だ」
白布「え……?」
そこでやっと白布は牛島の目を見た。そこにあるのはいつもと変わらない目。意志の強さ、体躯の強さを雄弁に語る王者の目が、自分を見つめていた。
牛島「お前の価値と2人の価値、どちらが高い低いなどない。俺達は皆等しい価値を持っている。
お前が生き残ったのには必ず意味がある」
白布「……っでも」
川西「逃げんな賢二郎」
川西が一喝する。白布は息が詰まる感覚に陥った。
息が出来ない。言葉も出ない。何も考えられない。
大平「大丈夫。英太はお前を恨んじゃいない。これは英太の我儘だったんだ。お前に生きていて欲しいから……英太はお前の背中を押した」
白布「!……っは……おれ……瀬見さんに生きてて欲しかったです……天童さんにも……っ」
五色「っ……そんなの俺だって!」
山形「俺も同じだよ!」
涙目の2人が言う。川西は白布の頭を己の肩に押し付けた。
川西「仲間を失って悲しいのはお前だけじゃない。苦しいのはみんな一緒だ」
白布「!……ごめん……ごめんなさい……っ」
白布は川西に縋って、川西の肩を濡らした。
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すみた先生(プロフ) - 玲央さん» 是非最終章の最後ら辺を読んで頂きたい……!!勝手にエモさ感じてる奴がここに居ます……! (2022年9月24日 15時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
玲央 - 今小説読んでいるんですけど、急に烏がでかい声で鳴き始めて鳥肌たった (2022年9月24日 14時) (レス) @page26 id: 6bc17f8fd6 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - 葵紫さん» コメントありがとうございます!私もホラーが好きで書き始めたのですが、楽しんで下さる方がいて本当に嬉しいです!応援の言葉、大変励みになります!ありがとうございます! (2021年1月1日 16時) (レス) id: 16cbe631bd (このIDを非表示/違反報告)
葵紫 - ホラーが好きなので楽しみにしています。更新、頑張ってください (2021年1月1日 14時) (レス) id: a274d33eb0 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - むいみおさん» コメントありがとうございます!好んでいただける方がいて喜ばしい限りです。私も死ネタはとても書いてて心苦しいですが、最後まで書ききりたいと思います!応援ありがとうございます! (2020年11月2日 7時) (レス) id: 16cbe631bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみた先生 | 作成日時:2020年7月25日 11時