命令6 ページ38
山形「英太ー!白布ー!どこだー!!」
大平「どこまで行ったんだ……?」
川西「賢二郎ー、瀬見さーん」
五色「あ!あそこ!!白布さーん!」
五色は手を振りながら白布の元へ駆け出していく。他の者もついて行く。
しかしそこに人影は1つしか無かったのに気づいたのは、五色以外の全員だった。
五色「白布さん!心配したんですよ?……あれ?白布さん、瀬見さんは」
白布は小さく震えながら嗚咽を漏らしていた。五色はそれに気づくと、最悪の考えに至った。
牛島「白布。瀬見はどうした」
牛島は事実確認の為に聞いた。牛島とて信じたくはなかったのだ。己の思案の末を。
しかし、皆の想い虚しく
白布「ごめ、な……さい……!!ごめんなさい……!!」
俯いて、完全な涙声で詫びた。
「「っ……!!」」
川西「!賢二郎……手」
川西は白布の手を取った。その手は、地面を鷲掴みにしていたせいか、地面に叩きつけていたせいか、はたまたその両方かで土と血で汚れていた。川西は白布の手が冷たく震えていることに気がつき、己のそれで握り込んだ。
五色「そん、な……瀬見さんが……!?」
大平「賢二郎……お前がやったのか?」
白布「っ……ごめんなさい……」
大平「謝って欲しいんじゃない。ただ知りたいだけだよ」
白布は地面に頭を擦り付けて這いつくばった。大平は跪き、白布の肩に手を置いた。
大平「英太はお前を守ってくれた。そうだろ?」
白布「っ!……いぇ……俺が……」
大平「【服従確認】のメールが来た時すぐ分かった。賢二郎を守るために、英太は犠牲になった」
白布「違う!!」
森の静寂に白布の叫びが木霊する。
白布「俺が……!俺が手を放さなきゃ……瀬見さん……っごめんなさい……!」
殴られた手は覚えている。瀬見の想いを、"後は任せた"という想いを。
牛島「白布、顔を上げろ」
白布「ぅ、……うぅ……っ」
涙、汗、土、その他諸々の体液で汚れた顔。白布は顔は上げたものの牛島の顔を見ることは出来なかった。大事な先輩をこの手で殺めた。顔向け出来なかった。
牛島「お前が泣いて瀬見は帰ってくるのか」
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すみた先生(プロフ) - 玲央さん» 是非最終章の最後ら辺を読んで頂きたい……!!勝手にエモさ感じてる奴がここに居ます……! (2022年9月24日 15時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
玲央 - 今小説読んでいるんですけど、急に烏がでかい声で鳴き始めて鳥肌たった (2022年9月24日 14時) (レス) @page26 id: 6bc17f8fd6 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - 葵紫さん» コメントありがとうございます!私もホラーが好きで書き始めたのですが、楽しんで下さる方がいて本当に嬉しいです!応援の言葉、大変励みになります!ありがとうございます! (2021年1月1日 16時) (レス) id: 16cbe631bd (このIDを非表示/違反報告)
葵紫 - ホラーが好きなので楽しみにしています。更新、頑張ってください (2021年1月1日 14時) (レス) id: a274d33eb0 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - むいみおさん» コメントありがとうございます!好んでいただける方がいて喜ばしい限りです。私も死ネタはとても書いてて心苦しいですが、最後まで書ききりたいと思います!応援ありがとうございます! (2020年11月2日 7時) (レス) id: 16cbe631bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみた先生 | 作成日時:2020年7月25日 11時