命令6 ページ37
瀬見「白布。
エスイーティーティーイーアールだ。次はエーティーティーエーシーケー。」
白布「は?何言ってるんですか?」
瀬見「フッ……」
瀬見は笑った。白布は分からない。全く分からない。
途端
白布「!!瀬見さんっ!!」
瀬見「っ!」
瀬見が立っていた足場が崩れた。
白布は大きく踏み出し、手を伸ばした。
白布「くっ……!」
辛うじて瀬見の右手を掴んだ。しかし自分より大きいため、持ち上げることは至難の業だった。
瀬見「……白布」
白布「どっかに足かけて下さいっ!」
瀬見「いい」
白布「早くっ……!」
まだ大丈夫。瀬見が足さえかけてくれれば、後は引き上げられる。
瀬見「白布、離せ」
白布「っ何言ってんだ!!早く足かけて!」
瀬見「足場が無いんだよ」
白布「探せばあるでしょっ!」
筋力は男子高校生としてはある方だろうが、残念ながら自分より大きな人間を持ち続けられる程の力は無い。もってあと1、2分だろうか。
落とす訳にはいかない。白布の頭はそれだけでいっぱいだった。
瀬見「……頼んだぞ」
白布「だから何言って…………いっ!」
瀬見は白布の手を思い切り殴った。鈍痛が走り白布は手を……
────────緩めてしまった。
白布「ぁ……瀬見さん!!!!」
瀬見「───────。」
白布「ぇ……」
すぐに身を乗り出して手を伸ばす。しかし瀬見は瞬く間に崖下へ転がり落ちた。
ぐしゃり。
肉の潰れる音が
白布「っ!!……瀬見さん……」
いやに鮮明に
白布「瀬見さんッ!!!」
白布の耳に張り付いた。
白布「あ……あぁ、……え……?……おれ……今…」
手を見つめた。さっきまで握っていた感触、瀬見の体温がまだ残っている。殴られた痛みも、再度掴もうとして空を切った感覚も。
───────瀬見さんが死んだ……?
白布「……」
崖下を覗く勇気も出なかった。あの音が何を意味するのか、白布には分かってしまった。
夜の森に、誰かの叫び声が響いた。
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すみた先生(プロフ) - 玲央さん» 是非最終章の最後ら辺を読んで頂きたい……!!勝手にエモさ感じてる奴がここに居ます……! (2022年9月24日 15時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
玲央 - 今小説読んでいるんですけど、急に烏がでかい声で鳴き始めて鳥肌たった (2022年9月24日 14時) (レス) @page26 id: 6bc17f8fd6 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - 葵紫さん» コメントありがとうございます!私もホラーが好きで書き始めたのですが、楽しんで下さる方がいて本当に嬉しいです!応援の言葉、大変励みになります!ありがとうございます! (2021年1月1日 16時) (レス) id: 16cbe631bd (このIDを非表示/違反報告)
葵紫 - ホラーが好きなので楽しみにしています。更新、頑張ってください (2021年1月1日 14時) (レス) id: a274d33eb0 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - むいみおさん» コメントありがとうございます!好んでいただける方がいて喜ばしい限りです。私も死ネタはとても書いてて心苦しいですが、最後まで書ききりたいと思います!応援ありがとうございます! (2020年11月2日 7時) (レス) id: 16cbe631bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみた先生 | 作成日時:2020年7月25日 11時