命令6 ページ32
岩泉「また【服従確認】かよ……」
及川「6つ目の命令が出されてから全部で3件。……よくこんなすぐ決められるよね〜」
屋上。いつかと同じように、2人は寝そべっていた。8月の明るい午後の空とちょうどいい風が2人を優しく見守る。
岩泉「……どうする気だ」
及川「どうしよっかな〜」
いつものおちゃらけた雰囲気。とはまた違っていた。とは言ってもその違いが分かるのは岩泉くらいだろうが。
岩泉「俺はてめぇがどっち選んでも口出しはしねえ」
及川「さっすが岩ちゃん!男前〜」
岩泉「お前が選んだ選択だし、仮に俺が何か言ってお前が思いとどまるような奴だとは思ってねえ」
及川「なーんか今日の岩ちゃん俺に優しくない〜?」
岩泉「……そうだな」
珍しく、本当に珍しく、岩泉が及川への優しさを肯定した。これには及川を目を丸くする。
しかしすぐにその真意を見抜いた。
及川「なるほど〜岩ちゃんにしては考えた方じゃない?及川さんとした事がまんまと騙されそうになったよ」
岩泉「……やっぱダメか」
小声で毒づく岩泉。及川は横目で見て小さく笑った。
及川「そういう事言って、敢えて俺に未練を作る。そして生きる方を選ばせる。面白いこと考えるね〜誰の入れ知恵?」
岩泉「誰のでもねぇよ」
知ってる〜と軽く流した及川。
もちろん岩泉としても及川の死を望んでいるわけではなかった。確かにウザくてアホで、欠点を挙げたらキリがないほどにクズだと思う。でも、それは本気か?と本気で聞かれたら、恐らく自分はそうだと言えないだろう。
嫌いだと言うには良い奴だが、好きだと言うには何かが足りない奴。でも信頼はしている。でなきゃコンビなんて組めるものか。
岩泉「どっちでもいいのは本当だ」
それは優しさ。岩泉の精一杯の優しさだった。
信頼する相棒だからこそ、選んだ道は最大限尊重してやりたい。
選んだのが死であれば見送ってやる。逆に生きる道を選んだのだとすれば全力で協力してやる。これは立場が逆転しても及川はそうするだろう。
及川「正直言うとね、俺は死にたくない」
117人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
すみた先生(プロフ) - 玲央さん» 是非最終章の最後ら辺を読んで頂きたい……!!勝手にエモさ感じてる奴がここに居ます……! (2022年9月24日 15時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
玲央 - 今小説読んでいるんですけど、急に烏がでかい声で鳴き始めて鳥肌たった (2022年9月24日 14時) (レス) @page26 id: 6bc17f8fd6 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - 葵紫さん» コメントありがとうございます!私もホラーが好きで書き始めたのですが、楽しんで下さる方がいて本当に嬉しいです!応援の言葉、大変励みになります!ありがとうございます! (2021年1月1日 16時) (レス) id: 16cbe631bd (このIDを非表示/違反報告)
葵紫 - ホラーが好きなので楽しみにしています。更新、頑張ってください (2021年1月1日 14時) (レス) id: a274d33eb0 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - むいみおさん» コメントありがとうございます!好んでいただける方がいて喜ばしい限りです。私も死ネタはとても書いてて心苦しいですが、最後まで書ききりたいと思います!応援ありがとうございます! (2020年11月2日 7時) (レス) id: 16cbe631bd (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:すみた先生 | 作成日時:2020年7月25日 11時