命令6 ページ30
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孤爪「クロ…………これ、どういうこと?」
黒尾「……」
ある教室。そこにいたのは孤爪と黒尾。
だけではなかった。
孤爪「この人……梟谷の人だよね」
孤爪の目線の先には、床に横たわっている人物。特徴的なツーブロックに、バレー部ではやや小柄な体。スパイクを打たないリベロ。
小見春樹だった。
孤爪「……クロ」
黒尾「仕方ねえだろ!」
孤爪「っ!」
いきなり大声を上げた黒尾。その顔は食堂で見た時よりも切羽詰まっていた。命令の対象は孤爪なのに。
黒尾「俺は……!もう仲間が死ぬのはうんざりなんだよっ……」
鬼ごっこで2人も死なせてしまった。他校と比べれば少ないと言われるだろう。しかしそれが何だ。人の命に多い少ないもあるのか?周りから見てたった2人でも、自分にとっては大切な仲間だった。
孤爪「……それはみんな同じでしょ。俺が聞いてるのは、なんでクロがこんな事したのかってこと」
黒尾「……お前、自分からやるつもりは無かっただろ」
孤爪「!」
黒尾「分かんだよそういうの。伊達に何年も一緒にいねぇしな」
腐っても幼馴染。嘘をついているかなど1発で分かる。
孤爪「そんな事ない。俺だって時間が迫ればやるつもりだった」
黒尾「"つもり"だろ?」
孤爪「っ……何が言いたいの」
黒尾「肝心なとこで諦めちまうお前は、多分最終的にどっちでもいいんだろ」
時間になり、その瞬間まで獲物が見つかればもちろんやる。しかし見つからなかった場合、"まぁいいか"なんて事で終わるのだろう。
生きられるなら生きるし、死ななければならないのなら死ぬ。その場に応じた生き方をしてきた孤爪にとって、この命令も同じようにやるべきだと感じた。
孤爪「……確かに俺はどっちでもいいよ。元々みんなみたいに生きることに固執してる訳でもないし」
黒尾「知ってた。だからこれは俺の……俺の願望だ」
黒尾は調理室からくすねたであろう包丁を孤爪に差し出した。
黒尾「研磨。生きてくれ。……頼む」
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すみた先生(プロフ) - 玲央さん» 是非最終章の最後ら辺を読んで頂きたい……!!勝手にエモさ感じてる奴がここに居ます……! (2022年9月24日 15時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
玲央 - 今小説読んでいるんですけど、急に烏がでかい声で鳴き始めて鳥肌たった (2022年9月24日 14時) (レス) @page26 id: 6bc17f8fd6 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - 葵紫さん» コメントありがとうございます!私もホラーが好きで書き始めたのですが、楽しんで下さる方がいて本当に嬉しいです!応援の言葉、大変励みになります!ありがとうございます! (2021年1月1日 16時) (レス) id: 16cbe631bd (このIDを非表示/違反報告)
葵紫 - ホラーが好きなので楽しみにしています。更新、頑張ってください (2021年1月1日 14時) (レス) id: a274d33eb0 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - むいみおさん» コメントありがとうございます!好んでいただける方がいて喜ばしい限りです。私も死ネタはとても書いてて心苦しいですが、最後まで書ききりたいと思います!応援ありがとうございます! (2020年11月2日 7時) (レス) id: 16cbe631bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみた先生 | 作成日時:2020年7月25日 11時