命令6 ページ27
ほぼ反射的に、侑は北へ飛びかかった。首に手をかけたまま叫んだ。
宮侑「信じとったのに!なんで!なんでやっ!!仲良かったやろが!?何で……!なんで!!何が"邪魔やった"や!?」
北「っ……ゴホッ…仕方、ない……やんか……こんな時……邪魔、やったら…っ…殺すしか……」
宮侑「ーーッ!!」
侑は力を強めた。
聞きたくなかった。尊敬していた先輩から、そんな事。
目の前が真っ赤に染まって、普段怒鳴ったこともない先輩に手をかけているという事実すら認識しづらく、ただただ、大切なチームメイトを同じチームメイトが殺したという憎しみと絶望だけが、今の侑を突き動かしていた。
宮侑「信じとったのに……!」
自分の信頼を裏切った。絶対にないと思っていた人から裏切られた。
指を通して北の脈動を感じた。この人は生きているのだと知らせてくる。しかしその命を、自分は摘み取ろうとしている。
北「……っ……あ、つむ……生きぃ……や……」
宮侑「!!」
.
.
宮治「ツムやめろっ!!」
目を閉じかけた北。すると背後から治が飛び出して来て、侑を羽交い締めにした。
宮侑「離せサム!!北さんは……北さんはっ」
宮治「ちゃう!北さんやない!!」
治も叫ぶ。北は崩れ落ちて噎せた。
宮侑「今聞いたとこやぞ!北さんが自分で言うたんや!!」
宮治「北さんは嘘ついてんねん!気付けやアホ!」
宮侑「何やと!?」
いつでもどこでも起こってしまう双子の乱闘を遮るように、北は立ち上がった。
北「邪魔……ゲホッ……すんなや…………治」
宮治「……嫌です」
普段機械のような北の、人間らしい恐ろしさに若干畏縮しながらも言い返した。
宮治「嘘ついたまんま死ぬとか、北さんが報われん」
宮侑「!サム……何言うて」
宮治「北さんはアランくん殺したりなんかしとらん。さっきの話全部嘘や」
淡々と、北を見据えながら言い放った治。それでも尚、北は治を睨んでいた。理不尽に怒りをぶつける事などしない北が、
治を敵視していた。
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すみた先生(プロフ) - 玲央さん» 是非最終章の最後ら辺を読んで頂きたい……!!勝手にエモさ感じてる奴がここに居ます……! (2022年9月24日 15時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
玲央 - 今小説読んでいるんですけど、急に烏がでかい声で鳴き始めて鳥肌たった (2022年9月24日 14時) (レス) @page26 id: 6bc17f8fd6 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - 葵紫さん» コメントありがとうございます!私もホラーが好きで書き始めたのですが、楽しんで下さる方がいて本当に嬉しいです!応援の言葉、大変励みになります!ありがとうございます! (2021年1月1日 16時) (レス) id: 16cbe631bd (このIDを非表示/違反報告)
葵紫 - ホラーが好きなので楽しみにしています。更新、頑張ってください (2021年1月1日 14時) (レス) id: a274d33eb0 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - むいみおさん» コメントありがとうございます!好んでいただける方がいて喜ばしい限りです。私も死ネタはとても書いてて心苦しいですが、最後まで書ききりたいと思います!応援ありがとうございます! (2020年11月2日 7時) (レス) id: 16cbe631bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみた先生 | 作成日時:2020年7月25日 11時