命令5 ページ12
【8月6日
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命令5
全員、一人3つずつボールを所持していること。】
黒尾「40人だからボールは120個必要か……木兎、ここにはどれだけある?」
木兎「え……何個だ?」
赤葦「45個ですよ。予備も膨らませれば60個です。20人になら配れますが」
3年間梟谷バレー部に所属していてもボールの数を把握出来ていない木兎に、黒尾と赤葦はため息をついた。
黒尾「俺達もそれなりに持ってきてはいるんだが……」
澤村「俺聞いてくるよ」
澤村は体育館を出て走り出した。黒尾はその様子を見届けて木兎に向き直った。
黒尾「木兎、一番被害がデカいお前らにこんな事言うのは辛いが……妨害はすんなよ。特に白鳥沢にちょっかい出すのはやめとけな。」
木兎「……分かってる」
真意を確かめたかったが、黒尾はそれ以上言及せずに体育館を出た。
赤葦「黒尾さん、絶対気付いてましたよ。」
木兎「赤葦……俺どうすればいいんだ?雪っぺに言われたことも出来ねえでお前らの前にいていいのか……?」
渡り廊下を歩きながら呟いた木兎。少し歩いて立ち止まった。数歩後ろを歩いていた赤葦は足をとめずに歩き、木兎に並んだ。
赤葦「何も全部一人でやれって言ってる訳じゃないんです。何のための仲間ですか。もちろん木兎さんは梟谷の主将でエース、トップに立つ存在です。……でも」
そこで言葉を切り、赤葦は顔だけ木兎に向けた。対して木兎の目線は下、いつになく落ち込んでいた。黒目はきょろきょろと動き、まだ迷っている心情を顕著に示した。
しかしそれを立て直すのが副主将である赤葦の役目だった。
赤葦「木葉さんや猿杙さん、小見さん、もちろん俺も、あなたと肩を並べて戦っている仲間なんですよ。バレーでも、この王様ゲームでも……」
木兎「あかー、し……」
赤葦「雀田さんに託されました。白福さんに助けられました。鷲尾さんも尾長も……誰の命も無駄にはしません。
俺だって怖いですよ。こんな訳の分からないゲームに巻き込まれて。……でも俺は決めました。木兎さんも腹を括ってください。」
しっかりと、体も心も木兎に向けて言い放った。
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赤葦「どんなことをしてでも、俺達と一緒に生きてください。」
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すみた先生(プロフ) - 玲央さん» 是非最終章の最後ら辺を読んで頂きたい……!!勝手にエモさ感じてる奴がここに居ます……! (2022年9月24日 15時) (レス) id: 547ebe12b8 (このIDを非表示/違反報告)
玲央 - 今小説読んでいるんですけど、急に烏がでかい声で鳴き始めて鳥肌たった (2022年9月24日 14時) (レス) @page26 id: 6bc17f8fd6 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - 葵紫さん» コメントありがとうございます!私もホラーが好きで書き始めたのですが、楽しんで下さる方がいて本当に嬉しいです!応援の言葉、大変励みになります!ありがとうございます! (2021年1月1日 16時) (レス) id: 16cbe631bd (このIDを非表示/違反報告)
葵紫 - ホラーが好きなので楽しみにしています。更新、頑張ってください (2021年1月1日 14時) (レス) id: a274d33eb0 (このIDを非表示/違反報告)
すみた先生(プロフ) - むいみおさん» コメントありがとうございます!好んでいただける方がいて喜ばしい限りです。私も死ネタはとても書いてて心苦しいですが、最後まで書ききりたいと思います!応援ありがとうございます! (2020年11月2日 7時) (レス) id: 16cbe631bd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:すみた先生 | 作成日時:2020年7月25日 11時