#Friday ページ12
.
先生が話す言葉は、わたしの耳を通り抜ける。
教室の窓から肘をついてぼうっと見ると、
飛行機雲が空に線を描いた。
たったそれだけのことなのに、
なんだか佐野くんだけに言いたくて、
今度は佐野くんを見るために後ろを振り返る。
窓際の後ろから2番目と窓際から2列目の1番後ろ。
目が合いそうで、合わない。
…まぁ、授業中だもんね。
殆どの人が寝てるか内職してるこの授業、
珍しく佐野くんは起きてるのに。
早くしないと飛行機雲消えちゃう。
どうにか佐野くんだけに教える方法を考えてるけど
なかなかいい案は浮かばなくて。
どうしようもなくてため息なんかついてみるけど
こんなことを考えてる時点で、
わたし、佐野くんに恋してる。
頭になにか当たる感覚がして振り返ると
ちょっとだけ肩を震わせてノートを取るフリをする
佐野くん。
うわ、がきんちょだ。
何時もノートなんか取らずにわたしに借りに来るのに!
結局仕返ししようと思ったけどチャイムが鳴って出来ずじまい。
「ねぇ、Aちゃん、なんでこっち見てたの?」
「飛行機雲、でてたなぁって」
「俺が雲すきなの覚えててくれた?」
「え、あ、ごめん、」
「なんで?覚えててくれたの嬉しいじゃん」
「う、?」
「あー待って、やっぱ今の忘れて」
「うん?」
耳まで真っ赤にした佐野くん、変なの。
でもね、もっといろんな佐野くんを知りたくなった。
.
22人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
り(プロフ) - 亜嵐LOVEさん» はじめまして!読んでくださりありがとうございます うれしいです〜!他にもお話載せているのでよければどうぞ! (2020年4月5日 19時) (レス) id: 470a32ab54 (このIDを非表示/違反報告)
亜嵐LOVE - 今日見ました!このお話良かったです! (2020年4月5日 14時) (レス) id: 1d6fa76e88 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:り | 作成日時:2019年7月14日 12時