やんちゃだがバレーは上手い奴が帰ってきた【ハイキュー!!】【男主】⑤ (ページ40)

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Our Youth ページ40

「「ありがとうございましたッ！！」」

もう白い息も見えなくなった季節。と言っても桜が咲いてる訳でもなくて、たださっぱり晴れた空だけが心地良い日。後輩らの声をしっかりと受け止めて、俺ら5人は卒業した。

「なんかあっという間だったな」

「お、テンプレ大地くんじゃん」

「でも実際卒業するとそれしか出てこねぇよなー」

「私はやり残した事とか無いから大丈夫」

「俺らもねーべ。……多分」

どうせなら飯でも行こうと5人で歩いていた。俺は、前を歩く大地・スガ・旭・潔子を少し後ろから眺めていた。旭が振り返って、「叶多は？」と聞いてきたが、話を聞いていなかった俺は疑問で返す。

「やり残した事。卒業して今更だけど……ある？」

『やりてぇ事は全部やってきた』

「叶多らしいな～」

後悔が無い訳じゃない。でも、後悔が無きゃこの先前に進む時浮つきそうだから、あるべき後悔だと思う。あれこれやっておきたかったとか、そんなのは無い……

無い……か？

『あ、やっぱあるわ』

立ち止まると、つられたのか4人も止まって俺を振り返った。

やり残した事、一つある。でも、もう出来ないとかではない。今出来る。今、言える。

――――『お前ら、3年間ありがとな』

ああ、心から言えた。多分俺今、ちゃんと笑えてる気がする。

本当に、烏野に来て良かった。烏野を選んだ俺を全力で褒めてやりたい。入学した時は、まさかこんなに大切な奴らが出来るなんて思ってもなかった。でも、こいつらとの距離に気付いて、大切さに気付いて、一生ものの仲間になれた。

「ふ……」

『ふ？』

「……ふざけんな」

『は？』

スガは俯いたまま俺の前まで来て、俺のバッグの持ち手を引っ張った。

「ふざけんなよっ！今日は泣かねぇって決めてたのに！！」

「同感。全く……最後の最後でお前は」

「え、清水泣いてる……？」

「東峰の方が泣いてる」

『え、わ…悪ぃ……？』

「なにしおらしく謝ってんだよ！バカナタ！！」

『なっ、バカってなんだよテメェ！』

スガは吹き出して、俺の肩に腕を回す。届きづらそうだけど。それから旭も大地も来て、4人で肩を組んで歩くのを隣で潔子が笑いながら眺めている。

「このまま行くか！」

「歩きづらい…」

「叶多もっと屈め！」

「待って写真撮る」

『俺撮る。潔子も入れ』

何とか画角に収めた5人は、これ以上ないくらい最高の笑顔だった。