やんちゃだがバレーは上手い奴が帰ってきた【ハイキュー!!】【男主】⑤ (ページ39)

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親友ページ39

「おい東峰ー、最近立花一緒じゃねぇじゃん」

「あー……なんかずっと図書室居るなぁ。調べものしてるっぽいけど、何調べてるかまでは」

春高が終わってから俺は、進学組の３人をとりあえず見守ろうと、自分から３人の時間を取るような事はしなくなった。まぁ昼休みに飯誘われたら全然行くけど。

でも最近になって変わったのは３人だけじゃなくて、叶多もだった。先日武田先生と話してから、何かに取り憑かれたように図書室に篭りがちになった。それと同時に、カバンの中に物が増えたように思う。

急に何をし始めたんだと思うけど、何となくその顔には見覚えがあった。バレーをしている時の叶多と同じだ。多分、叶多なりにやりたい事が見つかったんだと思う。

「お、噂をすれば……じゃあな東峰！」

「うん」

バイトがあるからとリュックを背負って教室を出て行った友達と入れ替わりに、小脇に本を何冊か抱えた叶多が入ってきた。

「もう帰る？」

『……まさか待ってたのか？』

若干引いた顔で言うので、失礼な奴だと思う。でも待っていたのも半分事実だから、適当に返しながらバッグを持って立ち上がった。

「帰ろう、叶多」

『おう』

叶多も本をバッグに詰める。偶然その表紙が見えてしまって、つい声を漏らした。

「叶多って……」

『あー……まぁ、お前ならいいか』

気まずそうに後頭部を掻いた叶多は、帰りながら話すと言って踵を返した。俺もそれに付いて校舎を後にすると、俺にだけ聞こえる声で叶多は話し始めた。

全て聞き終わって、俺は一言「そっか」と口にしていた。

「なんか、安心した。叶多のやりたい事が見つかって」

『あいつらには言うなよ』

「なんでだよ」

『今は、余計な事考えて欲しくねぇ……し、俺がなれるかも、まだ…分かんねぇし』

「珍しく弱気？」

『ちっげぇよ！！』

なんか懐かしいなぁ……叶多とこうやって２人で帰るの。前はもっと凶暴っていうか、俺でさえ言葉に困る態度だったけど、今は違う。叶多にもちゃんと弱いところがあって、それに向き合ってるって事も知って、俺達のために色々考えてくれてるってのも分かる。

「叶多、丸くなったよなぁ」

『太ったって言いてぇのか！？それとも腑抜けてるって言いてぇのか！』

「良い意味で、変わったって事だべ。今の方がずっと良いと思う」

『っ……そ、うかよ』

赤い耳は、夕日のせいって事にしてやるか。