やんちゃだがバレーは上手い奴が帰ってきた【ハイキュー!!】【男主】⑤ (ページ37)

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冬の3年生ページ37

「立花くん……その、僕はどうしてここに居るんでしょうか」

『俺の担任にしては良い判断だったんじゃないすか』

春の高校バレー大会が終わり、3年生の進学クラスは一気に受験モードに切り替わった。澤村・菅原・清水は、部活に当てていた分を取り戻すように机に向かい、東峰はそんな3人を刺激しないよう遠くから見守る事にした。

東峰に関しては既に進路が決まっているが、叶多は違った。担任が何度聞いても「考えてない」の一辺倒で、痺れを切らした担任は、叶多をよく知るであろう武田に縋ったのだった。

「進路の話……ですか。僕は進路担当ではないので詳しい事は知りませんが、立花くんがしたい事はあるんですか？」

『したい事……』

「自分の将来像は、ありますか？」

『……先の事考えんのは、苦手だ』

武田は言葉に詰まった。目の前の生徒は、現状が良くない事を理解している。その上で言ったのだ。

恐らく、今自分は、助けを求められている。武田はそう感じた。

「卒業したら君は、学校という束縛から放たれ自由を得る訳ですが、それと同時に責任も伴います。君を守ってくれる人は、今より格段に少なくなるでしょう」

『……』

「そういう時、計画も立てず我武者羅に"今"を生きていれば、必ずどこかで壁に衝突します。その壁は、高校生として君が越えてきたものよりも高く、硬い。

だからまず、やりたい事を探しましょう」

そればかりは用意してやる事は出来ない。叶多自身の中に答えがあるからだ。どうかその答えの端だけでも掴んでもらえれば、後はそれを目の前に広げるだけである。

『……俺は、大地達みたいに勉強が出来る訳じゃない。新しい場所で人と正しく関わっていくのも、俺には難しかった。でも、人との関わり方は、あいつらから教えてもらったから、多分出来る。

……したい事が、分からない』

低く呟いて、叶多は俯いた。