やんちゃだがバレーは上手い奴が帰ってきた【ハイキュー!!】【男主】⑤ (ページ33)

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ゴミ捨て場の決戦ページ33

春高3日目。今日は、一部の人間にとっては特別な日だった。

三回戦烏野高校対音駒高校(ゴミ捨て場の決戦)

会場内の全ての人間の視線を集める訳ではない。ただ大会中でこの試合を楽しみにしている人間が、少しだけ多いのだ。

しかし選手には過去の因縁など関係ない。彼らは今を戦っている。彼らの舞台を支えてくれた人達への感謝と共に。

宴が始まる。

音駒は、自由に飛び回る日向の導線を絶つことで、徹底した日向潰しを仕掛ける。孤爪が目を光らせて檻を構築するのに、烏野はじわじわと追い詰められていく。第１セットは既に音駒に先取されており、後が無い状況だった。

『翔陽』

叶多は汗を拭いながら日向を見下ろした。まだ迷いが残る瞳で見上げると、いつもの仏頂面があった。

『お前はすげぇ奴だな』

「え……？」

『こんなに徹底的に潰しにかかるって事は、そんだけお前の存在がうちの要になってるって事だ。逆に言えば、お前が折れればあいつらの思う壺だ』

だから、と叶多は腰を曲げて日向の頭に手を置いた。そして瞳孔を開いて言う。

『死んでも折れんな。コートに立ってたいなら、どんだけしんどくても飛ぶ勇気を持て』

先輩としての言葉だった。日向が唖然とするのも気に留めず、叶多は日向の頭を放ってネットの向こうを見る。

『今すぐやれとは言わねぇよ。それぐらいの時間稼ぎは出来る。だから……頼むぜ。お前なら出来っからよ』

「！」

笛の音が鳴る。