やんちゃだがバレーは上手い奴が帰ってきた【ハイキュー!!】【男主】⑤ (ページ23)

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家族の輪ページ23

黒尾・木兎との交流を終え宮城へと帰って来た叶多。

その日は、今年最後の部活だった。春高直前という事で緊張感も漂い始めているのだが、

『……っ』

この男、立花叶多はネットを張る手を止めて奥歯を噛み締めていた。理由は、朝から注がれている生暖かい視線である。出処は主に澤村・菅原・東峰。

『何か言えやっ！！』

我慢の限界に達した叶多は紐を縛りながら叫んだ。ギチィ、と音が聞こえるが関係ない。

「いやぁ……なぁ？」

「まさか叶多があんな事思ってたなんてなぁ……」

「直接言ってくれれば良いのになぁ」

『だァから帰って来たくなかったんだよ！クソがっ！』

元々目付きは悪かったが更に吊り上がり、最早全身に棘が生えているようにすら見える。吠える叶多だったが、その耳はほんのり色付いていた。それに気付かぬ3人でもなく、やはり口角が上がるのを抑えられない。

「何かあったんすか？」

そこへ田中がやって来て問う。しかし菅原は叶多を一瞥して首を横に振った。何でもない、と言うと田中は首を傾げつつネット準備を手伝った。怒っているような恥ずかしがっているような、迫力のある顔で唸っている叶多を眺めながら、3人は保護者のような気分でいた。

「黒尾に感謝だな」

「大地泣いてたもんな！」

「お前らだって」

「そりゃあ感極まるべ。あの叶多が、俺らに対してあんな風に思ってたなんて知ったら」

黒尾が送った動画は、3年生の間だけで回され、その他には流れていない。

「立花は、バレー以外の事に関しては身内には素直じゃないから。外の人の方が知りやすい」

清水も澤村達へ近寄って呟いた。3人ともそれに大きく頷く。

『潔子もグルかよ！ざけんな！』

「うるさいぞ叶多ー」

「そんな吠えんなって。……大好きなんだろ？俺らが」

「あ、スガそれ地雷……」

『スガコロス！！』

「早く練習始めて」

「なんか今日は、3年のみなさんがお元気なようで……」

紐を縛りながら、田中は誰へともなく呟いた。